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深沢郁 あなたの街で
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769 :あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/01/21(日) 21 16 32 ID Kcf6rTXR 季節は冬。 道場には剣道部員の掛け声と踏み込みの音、面を打つ音が響いている。 その音が一旦止まり、 「籠手打ち、始め!」 部長の掛け声をきっかけに、再び音が道場に響く。 夕方7時、ここ練心館で始まる校外練習は二時間続く。 770 :あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/01/21(日) 21 17 22 ID Kcf6rTXR 練習が終わり着替えを終えて、外で部員全員が出てくるまで待つ。 早く帰りたいが、道場に施錠をして鍵を返すまでは帰るわけにもいかない。 いや、本来はそれすらもしなくていいのだが。 何せ道場の持ち主の娘がここに来ているのだから。 一人を除き部員全員が帰ったことを確認した俺は、鍵を閉めることにした。 「ちょ、海原先輩すとっぷすとっぷ!」 「あーなんか幻聴が聞こえるな。まるで女の子の声みたいだ。」 「ばっちり聞こえてるじゃないですか!幻聴じゃないですよ! すぐに出ますから待ってくださ~い!」 声の持ち主が出てから再び施錠する。うん。確認OK。 「さて、帰ろうか大河内。」 「先輩。いつも言ってますけど、私が出てないのに鍵閉めないでくださいよ。 いやがらせですか?それともいじめですか?」 「不器用な部長なりのスキンシップだ。」 「へー、そんなこと言うんですか。じゃあ今日お父さんに言っておきます。 『海原先輩がお父さんとスキンシップしたいって言ってた』って。」 まずい。いつもより怒っている。 しかも彼女の父親との『剣道でのスキンシップ』は『死合い』と同義になる。 本人は遊んでいるのだろうが警察で剣道の指導をしている人間と高校生とでは実力差がありすぎる。 ライオンがウサギにじゃれついているようなものだ。 771 :あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/01/21(日) 21 18 09 ID Kcf6rTXR 「すまん。それは勘弁してくれ。もうむちうちになるのは御免だ。 今度学食でカツ丼特盛か牛丼特盛をご馳走するから。」 「両方です。」 「両方かよ!・・・いや、わかった。わかりました。 ご馳走させていただきます。大河内桜嬢。」 「わかればよろしい。ようやく身分をわきまえたようね海原。」 腰に手を当てて高笑いしている。しかし竹刀袋を持ったままだから全然似合わない。 「さて!じゃあ帰りましょうか先輩!」 やれやれ。 このお嬢様の機嫌を損ねるたびに奢らされているというのに 俺も学習能力が低いものだ。 しかし、それがわかっていても何故かこいつにちょっかいをかけてしまうのだ。 それはこの少女の性格がそうさせてしまうのだろうか。 それとも単純に俺がいたずら好きだからだろうか。 それとも、俺がこいつに対して異性としての好意を持っているからか。 ――たぶん全部だな。 左で歩くたびに左右に揺れるポニーテールを見ながらそう思った。 772 :あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/01/21(日) 21 19 02 ID Kcf6rTXR すっかり暗くなった夜道を先輩と歩く。 四月に剣道部に入部してから毎日のように繰り返されていることだ。 でも一度も飽きたとか一人で帰りたいとか思ったことはない。 なぜか?理由は簡単。 私が先輩のことを好きだから。 ・ ・ ・ 剣道馬鹿の両親と兄を持つ私は物心つくころにはすでに竹刀を握っていた。 別に強制をされたわけじゃない。 両親の期待を受けた兄が小学六年生のときには全国大会に出場し、 中学に入ってからは高校生も打ち負かすほどの実力者になっていたからだ。 そのため私は両親に稽古をつけてもらったことがない。 見よう見まねでただなんとなく竹刀を振るようになっていたのだ。 そのことが影響したのか、中学校では全国大会にも出場し、部員の推薦で部長に任命された。 だからだろう。私は調子に乗っていた。 家が近いという理由で入学した県立高校の剣道部は 過去に大きな成績を残すほどでもなく、弱小と言ってもいいところだった。 入部一日目の感想はそんなものでしかなかった。 しかし入部二日目。この感想は変わることになる。 773 :あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/01/21(日) 21 19 51 ID Kcf6rTXR 経験者ということで早速その日から練習に参加することになった。 基本練習を終え、次に実力を見るために練習試合が行われた。 私の試合は最後に行われた。その相手が海原先輩だった。 海原先輩は昨日は練習に来ていなかったらしい。 (練習をさぼる人が私の相手をできるの?早く終わらしちゃお。) そう思い『はじめ』の合図とともに繰り出した突きは、 先輩の喉ではなく空を突いた。 (うそ!突きがくることがわかってたの?) 予想外だった。どうやら本気でやる必要があるようだ。 先輩に向かって再度構える。 しっかり向かい合って分かる先輩の威圧感。 兄ほどではないが油断できない相手であることが感じ取れる。 そして自分の持てる最高の速度で突きを繰り出した―― ・ ・ ・ 774 :あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/01/21(日) 21 22 22 ID Kcf6rTXR 「引き分け!」 両者一本ずつの引き分けの結果に終わった。 私の突きを先輩が避けて胴を打ち、先輩に一本。 先輩の面打ちに対して籠手を打ち、私に一本。 その後はお互い決定打を打てずに引き分けに終わった。 終わってから私が感じたのは高揚感だった。ものすごく楽しかった。 ジョギング中にいつまでも走り続けていられるような、 プールでずっと泳いでいられるような感覚と似ていた。 今まで竹刀を握っていてこんな気分になったことはなかった。 練習後、対戦した先輩に興味を持った私は先輩が一人で帰っているところを見計らって話しかけた。 「海原先輩!」 「へ?あ、おー、こー・・・皇王池さんだっけ?」 「大河内です!お、お、こ、う、ち!」 最初の会話がこんなだった。まさか名前を間違われるとは。 なんだかとぼけた先輩だと思った。
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617 名前:あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. [sage] 投稿日:2009/05/12(火) 00 41 20 ID 93m2XEnV マサトくんと、マサキ先輩は同じクラブで出会いました。 当然ながら私もマサトくんと同じクラブに入ったのですが、そこで私たちが一番初めに打ち解けたのがマサキ先輩でした。 きっかけは簡単です。 マサトとマサキ。たった一文字違いの名前という事で二人は部内で話題になりました。 秋津マサトと若槻マサキ。 女性でマサキ、というのはなんだか珍しいです。 でも、マサキ先輩はその名前に負けないくらい変わった人でした。 黒髪の長身に、整った顔立ちに能面のような無表情を張り付けた、絶世の美人。 それが、誰が見てもマサキ先輩の外見を評した時の言葉です。 ・・・でも、中身はまるで変なのです。 どれだけ変なのかは、先ほど見て頂いた通りなのですが・・・。 その日、私たち3人は一緒にお弁当を食べていました。 マサトくんとマサキ先輩が意気投合してからと言うものの、こうやって三人で食べるのが習慣になっているのです。 「最近、この付近で起こっている殺人事件は知っているかい?」 昼食時だというのに、マサキ先輩はそんな話を切り出しました。 この方の殺人鬼好きは本当に困ったもので、食事中だろうと何だろうと、構わず話題に乗せてこられます。 「マサキ先輩、その話、昨日も聞きましたけれど・・・?」 しかも、話題はここら一帯で起こっている、とある連続殺人事件の事なのです。 マサトくんが言うように、マサキ先輩は昨日も同じ話をされていました。 本当に先輩は殺人鬼が好きなようで、いつもこんな話ばかりされています。 「おや、そうだったかい?・・・まぁ、いい。で、その殺人事件の話なんだけど」 マサトくんは先輩の話を聞くために、私が作らせて頂いたお弁当を突く箸を止めてしまいました。 毎日、マサトくんのお母様に代わって、朝食と一緒に用意させていただくお弁当。 先程マサトくんが箸で持ち上げようとしていたおかずは、私の血液を隠し味にした卵焼きです。 血の生臭さとかは味付けで完璧に消してあるので、絶対に気づかれないのはわかっているのです。 けれども、マサトくんが私の卵焼きを口の中に入れる瞬間をこの目でしっかりと焼きつけておきたい。 そう思って、マサトくんがお口に運ぶのをドキドキしながら見つめていたのに。 いまや、マサトくんは私が作ったお弁当などすっかり上の空で、マサキ先輩のお話に聞き入っています。 618 名前:あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. [sage] 投稿日:2009/05/12(火) 00 45 27 ID 93m2XEnV ・・・仕方が無いので、私は自分のお弁当を片づける事にしました。 「と、言う訳で氷室さんも気をつけた方がいい。特に夜道は危ないからね・・・氷室さん?」 「えっ・・・?」 突然、マサキ先輩に声をかけられて、私はびっくりしてしまいました。 思わず、掴んでいたミートボールを床に落としてしまいます。 「ああ、もったいないな。折角の美味しそうなミートボールが台無しだね。何か考え事でもしていたのかい?」 私は転がったミートボールを、ポケットから取り出したティッシュで包み、拾いあげました。 別に大好物と言う訳でも無いのですが、確かにもったいないです。 それにしても、マサトくんがマサキ先輩とのやりとりに夢中で、私のお弁当を食べて頂けない。 その事で、考え事をしていたなんて、とてもお二人には言えません。 「ごめんなさい。ちょっと、ぼーっとしていたら、突然声を掛けられてびっくりしてしまいました」 「そうかい。じゃあ、先程の話は聞いていなかったようだね?」 マサキ先輩は、相変わらずの能面のような無表情でそう言われました。 正直、怒っているのか、怒っていないのか、私では何も読み取れません。 もしかして、マサトくんなら、先輩の喜怒哀楽が手に取るようにわかるのでしょうか? 「ごめんなさい。聞いていませんでした。・・・それで、どのようなお話だったのでしょうか?」 本当の事を言えば、私はマサキ先輩のお話は、オカルト的なお話ばかりで苦手なのです。 けれど、このままお話を無視するわけにもいきません。 マサキ先輩のお話を聞いていなかった私が悪いのですから。 私は先程のお話をもう一度お聞かせ頂く事にしました。 「ほら、最近さ、大学生の女の人が殺される事件が続いてるだろう?・・・僕らは高校生だけど、気をつけた方がいいって話をね?」 意外な事に、答えてくれたのはマサトくんの方でした。 しかも内容は最近、近所で横行している殺人事件のお話。 マサトくんのおっしゃるとおり、私たちの街では女子大生が定期的に喉を切り裂かれて惨殺される、という事件が起こっていました。 「私の安全を心配してくださったのですか?ありがとうございます。・・・それなのに聞き流してしまって・・・本当に申し訳ありません」 私はマサトくんとマサキ先輩、二人に向って深々と頭を下げました。 まさか私の身の安全を心配していただいていた、なんて。 それなのに私は、マサトくんが私のお弁当を味わってくれない事に・・・嫉妬、していたなんて・・・自分が恥ずかしいです。 619 名前:あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. [sage] 投稿日:2009/05/12(火) 00 48 12 ID 93m2XEnV 「そんな大げさに謝らなくても。本当にミクは丁寧なんだから」 そうは言うものの、最近付近で起こっている連続殺人の被害者はみんな歳ごろの若い女性なのです。 私も両親から常々気をつけるように言われておりますとおり、いつ被害者になってもおかしくありません。 ですから、その事を気にかけてくれたお二人を無視していたのは、非常に良くない事です。 ・・・ふと、マサキ先輩を見ると、私の方をじっと見つめておられます。 能面のような筈の表情のマサキ先輩の口元が、心なしか吊り上っているような気がします。 なんなのでしょうか?どうして私はこの方に見つめられているのでしょうか? 「フフフ・・・相変わらず氷室さんは面白いなぁ。マサトもそう思うだろう?」 「マサキ先輩、私の何が可笑しいのでしょうか?」 よく分からず人から笑われるのは、決して心地の良いものではありません。 思わずマサトくんを見てしまいましたが、彼の顔はマサキ先輩に釘付けで、何も窺う事が出来ません。 それどころか、マサトくんのその表情を見て、私の心は張り裂けそうになってしまいます。 どうしてなのかは・・・わからないのですが。 「いやいや、馬鹿にしているつもりは無いんだよ。ただ、君のその言葉使いと態度・・・いくら聞いても中々慣れるものじゃないね。・・・いや、微笑ましくて結構なんだが」 「うーん。僕はミクのこの性格は昔からのものなんで、全然違和感無いんですが、流石に先輩はありますか?」 なるほど、どうやら私のこの、ですます調の事を言ってらっしゃるようです。 マサトくんが言っているとおり、昔から私はこのですます調に丁寧語なので、今更変える事が出来ないのです。 子供の頃はマサトくんしかお友達が居なかったので、自分の喋り方がおかしい事に気が付かず、両親からもこれと言って指摘も無かったので、今に至るのです。 「うん、もう凄い違和感があるね。最初はなんて他人行儀な娘かと思ったよ。いやはや氷室さんを見ていると楽しいなあ」 マサキ先輩は能面のような無表情で、私には全然楽しそうには見えません。 でも、馬鹿にされている訳では無くて良かったです。 むしろ私たちと居る事を楽しんでくれているようで。 ・・・余りにも無表情過ぎて、とても楽しんでいるようには見えないのですが。 「そう言えば二人は幼馴染なのだったね?」 「ええ。ミクとは生まれた時からずっとですね。家が隣なんで」 そうです、私とマサトくんは同じ病院で生まれました。 生まれた時からずっと一緒に居るので、マサトくん無しの生活は全く考えられません。 620 名前:あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. [sage] 投稿日:2009/05/12(火) 00 51 22 ID 93m2XEnV マサトくんは、昔から私にとって大切な人ですから、今こうしてお世話させていただける事が凄く幸せなんです。 「なら、いざと言う時は恋人のマサトが氷室さんを守ってくれる訳だ。なら、私の忠告は杞憂だったかな?」 ・・・マサキ先輩の言葉に、私は思わずピクリ、と反応してしまいました。 こ、恋人同士なんて、そんな・・・恐れ多いと思います! 私とマサトくんは所轄ただの幼馴染で、そんな、恋人だなんて・・・なれたら、なれたらどんなに幸せでしょうか? でも、きっと、恋人同士だなんて恐れ多くてなれないけれど、だけど・・・。 マサトくんは、私を守ってくれますよね? 殺人鬼に、もしも私が襲われたら、守ってくれますよね? だって、私たちはお互い大切な幼馴染なんですから、ね? ・・・けれど、それを慌てて否定したのはマサトくんでした。 「あ、いや。ミクとは幼馴染なだけで。・・・きっといつか僕より素敵な男性が現れて、守ってくれますよ」 私はテレビを見ていました。 テレビでは連日ニュース番組で例の連続殺人が報道されています。 剃刀の刃で被害者の喉元を一裂きして現場を立ち去る・・・。 証拠も目撃証言も無く、増える一方の被害者たち・・・。 こんな恐ろしい事が出来る犯人さんはきっと、すごく怖い人に違いありません。 「また被害者が出たそうですよ。怖いですね、マサトくん・・・」 ・・・返事はありません。 だって、ここにマサトくんは居ませんから。 今頃、マサトくんはマサキ先輩と何処かに遊びに行っているのでしょう。 私は一人寂しくマサトくんのお家で留守を守っているしかありません。 だって、マサトくんのお母様にお家の事も頼まれているんですもの。 「どうして犯人さんは女性ばかりを狙うのでしょうか?」 ・・・またまた、返事はありません。 家の中に、私の声がむなしく響くだけです。 今頃マサトくんは、マサキ先輩に告白して、恋人同士になっている筈です・・・。 今日、家を出る前のマサトくんは私が今まで見た事の無いくらいおめかしして、出かけて行きました。 あのとても輝かしい笑顔で告白されたなら、全ての女性は断ることが出来ないでしょう。 私はマサトくんのお部屋から持ってきた、彼の枕を左手で強く抱きしめました。 621 名前:あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. [sage] 投稿日:2009/05/12(火) 00 53 58 ID 93m2XEnV マサトくんの匂いがして、とっても気分を落ち着けることが出来ます。 「なるほど、面白い考えですね・・・女性ばかりを狙うのは怨恨のせいですか・・・」 テレビでは、犯罪心理学の権威、という方が犯人像を必死に推理されています。 その方によれば、犯人さんは、女性に対し何らかの怨恨を持つ人間、との事です。 「マサトくんはどう思われますか?・・・一体誰がこんな事をしているのだと思われますか?」 ・・・そうですね。マサトくんはいま、お家にいらっしゃらないんでした。 私も薄々気が付いていた事なんですが、マサトくんはマサキ先輩の事が、好き・・・・だそうです。 昨日の夜、私の部屋に思いつめた表情で、マサトくんはやってきたのです。 そして、マサキ先輩が好きだと言う事を伝えられ、どうしたら良いのかアドバイスをしてほしい、と言われました。 私は何故だか目の前が真っ暗になって、気絶してしまいそうになりました。 だけれども、大切なマサトくんが、私に助けを求めてきているのです。 それに答えない訳にはいきません。 私は精一杯のアドバイスと、励ましをマサトくんに捧げました。 マサトくんがマサキ先輩の事が好きだと言うのならば、私も全力でそれを応援するべきです。 だって、それが、マサトくんのお世話を任されている、私の義務というものでしょう? 「あ、あれ?私、・・・なんで手首から血が流れているんでしょう・・・?」 私は、自分の右手首から血が流れ出ているのに、今更ながら気がつきました。 どうして、私の手首は切り裂かれているんでしょうか?訳がわかりません。 しかも、私のすぐ傍に、血の付いた化粧用剃刀が転がっているではありませんか。 これで私は自分の手首を切りつけたのですか? 何故、そんな事をしなければならないのでしょうか。 「・・・自殺なんていけませんよね、マサトくん。私はこれからもマサトくんのお世話をする為に生きていかなくてはならないのですから。ね、そうですよね、マサトくん?」 そうです、私はこれからもマサトくんのお世話をして、尽くして生きていかなければなりません。 だって、マサトくんのお母様からお世話をする事をお願いされていますし。 何より、毎日のお世話をマサトくん自身が望まれているんですから。 ねぇ、そうですよね?マサトくん・・・。 例え、マサトくんに恋人が出来たとしても、それは揺らぐことない真実です。 私はマサトくんのお世話をする事に、人生のすべてを捧げると、そう誓ったのですから。 マサトくんに恋人が出来たのなら、お二人が幸せになる為に全力でお力添えをしなければ・・・。
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『ぷでぃんの真実』 28KB 考証 変態 群れ 捕食種 希少種 自然界 うんしー ぷでぃん、それは至高のあまあま ・これが・・・お前の欲した真実だあああああああああああああああああああ!!!! ・ネタ被り・・・あったらごめんなさい、いや一応調べたけど・・・ ぷでぃんの真実 麦茶あき 「うー☆ぷでぃーん♪」 れみりゃが言っている「ぷでぃん」とはもうわかっていると思うが人間がおやつとして食べているあのプリンのことである。 数多のゆっくりれみりゃはこのプリンを求めて生き続け、 人間などに喧嘩を売りボコボコにされようともプリンを求める。 通常のゆっくりがあまあまを求めるのとそう変わらないれみりゃの本能だ。 例えば最近は見かけないがれみりゃも普通のゆっくりたちのようにあまあまを要求してくることがある。 例:1れいむの場合 「おいくそじじい!かわいいれいむにあまあまよこしてね!!いますぐでいいよ!!」 「雑魚が」 「ゆぎゃああああああああああああ!!!どおじでごんなごとするのおおおおおおおおおおおおお!!!??」 例:2まりさの場合 「じ・・にんげんさん、まりさにあまあまをわけてほしいんだぜ」 「燃えろ粗大ゴミ!!!」 「ゆぎゃああああああああああああああああああ!!!!あづいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!??」 例:れみりゃの場合 「うー☆ここはれみぃのこーまかんなんだどー♪どれいはゆっくりしないでれみぃにぷでぃんをよこすだどー♪」 「・・・・・・・・・・・・・・で?」 「いだいいいいいいい!!!??ざぐやああああああああああああああああああああああ!!!」 とこんな感じだ。 ここで気になることがある、それはゆっくりにとってあまあま=最高の食べ物、 れみりゃにとってぷでぃん=最高の食べ物という図式になるのだが、 何故れみりゃはぷでぃんなのか? れみりゃも他のゆっくり同様、甘いものは大好きだ。 ならあまあまと言ってもいいし、甘いものが欲しいならぷでぃんでなくてもいいはずだ。 なのにれみりゃは何故ぷでぃんを求めるのか? その真相を今ここで明かそう。 とある森の中、ここにれみりゃの巣があり、そこには胴なしのゆっくりれみりゃが住んでいた。 さて、このれみりゃがその真相を明かすのに相応しいれみりゃなのだが、 実はわけがある。 このれみりゃは番もちであり、その番は胴なしのゆっくりさくやなのだ。 「おじょうさまーおきよつけくださいましー」 「うー☆わかったどー♪」 この二匹が出会ったのは偶然である。 たまたまゆっくりを狩りをしていたれみりゃが散歩中だったさくやを見つけて親しくなった。 そして二匹の性格上のこともあり、二匹は夫婦となった。 このれみりゃは運がいいれみりゃであることは間違いない。 希少種で野生にはほとんど存在しないゆっくりさくやを番にできたのだから。 気持ち的ならちぇんがらんを番にできて喜んだのと一緒だろう。 元来れみりゃ種はさくやを求める習性がある。 ボコボコにされ窮地に陥った時、さくやの名を呼ぶ。 会った事のない自分の従者だが本能がそうさせるのだ。 さくや自身もれみりゃを求める習性がある。 いつか愛するお嬢様のためにと世界を歩き回っているのだ。 れみりゃが狩りに行ったことを確認し、さくやは巣の中を掃除する。 ゆっくりさくやはメイドのカチューシャをつけているせいか、メイドらしい行動をする。 れみりゃのためにこーまかんを清掃し、家具や藁を並べ、うんうんを片付ける。 実はうんうんの片付け方だけおかしいのだがそれは後に話すとして、 掃除をし終えた頃、狩りから戻ってきたれみりゃが食料のゆっくりれいむやまりさを連れてきた。 「うー☆ただいまなんだどー♪」 「おかえりなさいませ!おじょうさま!!」 「はなしてね!!れいむはおいしくないよ!?」 「そうだよ!まりさはまずいかられいむをたべてね!」 「どぼじてそんなこというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」 「じゃあおりょうりたのむんだどー、れみぃはこいつらのおうちからつかえそうなものとちびっこいのをもってくるだどー」 「わかりましたわ」 れみりゃは連れて来たれいむとまりさのお家に再び戻り家に使えそうな物がないか探しに行った。 それにこのれいむたちのお家には生まれたばかりの赤ゆっくりがおり、 親を先に自分の巣の中に持って行こうと置いてきたのだ。 何故赤ゆっくりを先に狙わなかったか、理由は動けないことでもあるがもう一つ理由がある。 「さて、おじょうさまのためにおりょうりしなくては」 「「ゆっ?」」 スパッ 「「いだいいいいいいいいいいいいいいい!!!??でいぶ(ばりざ)のあんよがああああああああああああああああああああああああ!!!!」」 「あとはいためつけるだけですわ」 ぶすっ!ぶすっ! 「やべでええええええええええええええええ!!!いだいよおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「でいぶだずげてええええええええええええええええええええええええ!!!」 「ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 さくやはれいむとまりさを自分で作ったペーパーナイフであんよを切り、 中身の餡子を甘くするためにれいむたちを痛めつけている。 これを繰り返しておけばれみりゃが帰ってくる頃には中身は甘くなっているだろう。 ペーパーナイフはさくやが自分で作ったもので木の枝を削って加工したナイフである。 作るには相当の技術が必要であり、近いものならみょんのろーかんけん位だ。 そんなこと繰り返している間にれみりゃがれいむたちの家から使えそうなものと、 赤ゆっくりを入れた藁を持ってきた。 「そ、それはおちびちゃんのべっとさんだよおおおおお!!?なんでここにあるのおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「ま、まりさだけでもたすけてね・・・・?」 「まったく、ひどいくろぼうしですわね・・・」 「うー☆ちょっとおもかったどー」 「おつかれさまですわおじょうさま。おりょうりのほうはできておりますのでそちらをおたべになってください」 「わかったどー☆」 れみりゃは狩りの疲れを癒すため親まりさの中身をちょっとだけ吸った。 ちゅううううと吸われたまりさは番のれいむに助けを求めたが無視された。 「なんで?!」と驚いているがさっき自分が言った事をもう忘れているようだ。 さくやはれみりゃが持ってきたものを整理した。 石、木の枝、藁、赤ゆっくり。 石はいらない、木の枝と藁は使えそうなので取って置き、赤ゆっくりたちを今日のご飯にすることにした。 「さすがおじょうさまですわ、こんなにたくさんのごはんさんをとってくださるなんて」 「きょきょどきょー?」 「みゃみゃー」 「ゆっくちー・・」 「おちびちゃあああああああああああん!!!にげてえええええええええええええええええ!!!」 「うるさいど」 「ゆぎゃ!?」 赤ゆっくりはゆっくりがよくごはんを並べるテーブルと称して作った葉っぱの上に乗せられた。 別にそのまま食べられていいのだがそこはさくやのプライドが許さない。 れみりゃのメイドとして綺麗に御もてなしするのだ。 「おじょうさま、あかゆっくりでございます」 「うー☆さっそくたべるだとー♪」 「「「「ゆ?」」」」 パクッ!ちゅうううううううううううううう・・・・・・・・ 「ゆぎゃあああああああああ!!!れいみゅのあんきょしゃんしゅわにゃいでえええええええええええええええ!!!」 「おちびちゃああああああああああああああああああん!!!!!」 ちゅるん!・・・ぺらぺら・・・ 赤れいむは餡子を吸われて死んでしまった。 「「「おねえしゃんがあああああああああああああああああああああああああ!!!!??」」」 「おちびちゃんがああああああああああああああああああああああああああ!!!??」 「おいしいどー☆」 実の姉が食われたことに怯える赤ゆっくりたち。 れいむはなんとか助けようとするがあんよを傷つけられてるため動けない。 「まりちゃたべりゃれちゃきゅにゃいよおおおおおおおおおおおおお!!!」 「たびぇりゅんにゃられいみゅをたべちぇにぇ!!」 「どびょじでしょんなきょちょいうにょおおおおおおおおおおおおおおおおお???!!」 「うー♪すききらいはだめだどー、のこさずたべるからあんしんするだどー」 「「「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」」」 そう言われて赤ゆっくりたちはみな食べられてしまった。 残った皮はさくやが食べて後片付けをする。 れいむは死んでしまった赤ゆっくりたちのお飾りを見て泣きながら名前を叫ぶがもう遅い、赤ゆっくりたちは死んだのだ。 まりさはれみりゃに吸われた余韻がまだ残っていて顔が青ざめている。 ここかられみりゃの食後のデザートが始まる。 デザートとはもちろんアレである。 「おじょうさま、ぷでぃんでございます」 「うー☆ぷでぃーん♪」 そこにあるのはぷるんとした形をした紛れもないプリン。 出されたプリンに喜ぶれみりゃはプリンの味を味わうようにちょっとずつ食べた。 「うーおいしいどー♪さくやはすごいどーまいにちぷでぃんをもってきてくれるんだどー♪」 「おほめのことばありがとうございます」 褒められて嬉しそうな顔をするさくや。 しかし、ここで疑問に思う。 このプリンはどこから持ってきたのか? 実はこれ、さくやのうんうんなのだ。 ゆっくりさくやの中身はプリンなのである。 ゆっくりのうんうんは中身の古い部分を排出し、体外へと出す。 中身から出たので排出されるうんうんも中身と同じものである。 さくやはれみりゃに見られないよう、うんうんをし自分のうんうんをれみりゃに食べさせていたのだ。 何故さくやが愛するれみりゃにこんなことするのか、 理由としてはうんうんも食べれなくはないのだがこれもまた一つ。 (はあ、はあ・・・・おじょうさまがわたしのうんうんをたべてうれしそう・・・) 自分のうんうんを食べているれみりゃに性的興奮をするため。 たらー・・・ 「うー?さくやー、またはなじでてるどー?」 「はっ!?もうしわけございません、おじょうさま・・・すぐに・・・」 さくやは垂れでたキャラメルソースを即座に拭い取る。 どういうわけかゆっくりさくやはれみりゃに性的興奮をするとこのようにキャラメルソースの鼻血を出す。 この時のさくやはとてもゆっくりできるという。 ゆっくりさくやはれみりゃが大好きであるがその愛情は少し異常なところがある。 どの位異常かというと舐め舐めしたいと思ったりれみりゃのうんうんを食べたり、 もういっそのことすっきりしたいと思っているくらい。 ようはゆっくりさくやは愛するれみりゃに自分のうんうんを与えて性的興奮をしたいのだ。 愛すべきものに自分のうんうんを与えるのはどうかと思うが、 ゆっくりさくやがこのようなことをするのは今から昔のこと・・・ 昔、れみりゃとさくやは当然のように番になり、狩りをし、子を成し、生活していた。 もちろん現在でもあることだがそのような個体は今では見かけなくなっている。 主な原因としては外部からの天敵による影響だろう。 ふらん、ゆゆこ、れてぃ、人間といった様々な弱肉強食の強者たちがれみりゃの群れや巣を襲い、その数を減らしていった。 中でも一番に減ったのはさくやである。 れみりゃを守るために自ら囮になってその命を散らしていった。 つまり今生き残っているゆっくりさくやはそんな野生の争いに巻き込まれなかったものか、生き残ったものたちなのだ。 逃げ延びたれみりゃは番を失い、子を成すことができなくなったが、 何年か経つにつれ自分で妊娠できる個体が現れるようになった。 単位生殖、それがれみりゃが自分の子孫を残すために取った行動である。 番がいなく、一人で子供を育てるのは大変だったがなにせ自分たちが食べているのはあのゆっくりだ。 いくらでも湧いて出る。 通常種の繁殖力がれみりゃ種を生き繋いでいったのだ。 おかげでれみりゃは今も生きておりその数を増やしている。 単位生殖するれみりゃは今もいるが昔のれみりゃの子孫かもしれない。 一方で困ったのがさくやだ。 生き残ったさくやはれみりゃと離れ離れになってしまい会う事すら叶わない。 仕方なく辺りを彷徨っていたら捕食種のめーりんと出会う。 この二匹は何故か相性がよく番になることがあり、一部のさくやはめーりんと番になり子を成していった。 ただめーりんは通常種から見下されているため巣を襲撃されて一家全滅があり、なかなか数を増やすことができなかった。 さくやが希少種になった原因はこれかもしれない。 さて話が逸れてしまったが何故さくやがれみりゃに自分のうんうんをあげるのか。 何故れみりゃはぷでぃんが大好きなのか、その真相を話そう。 事の発端はまだれみりゃとさくやが番になるのが当たり前の時代。 れみりゃは狩りをして他のゆっくりを捕食していった。 群れで狩りを行い、毎日のようにあまあまを食べていた。 しかし、ある日そのゆっくりが群れの周りから急激に数を減らして食糧危機に陥ることがあった。 そのようなことが起こる前にれみりゃたちは群れで他の場所に引越しをするのだが、 群れは一つではなく引越ししたところにいたゆっくりたちの数が少なく、 食べる量を減らさなくてはならなかった。 「うー・・・おなかすいたどー・・・」 「おおきいほうはたべちゃだめだどー・・・ちいさいほうをたべるだどー・・・」 「でもおなかがみたされないどー・・・」 れみりゃたちは食べれるゆっくりを減らさないよう赤ゆ、子ゆっくりばかり捕食していった。 しかし、れみりゃは大きい、つまり成体になったゆっくりを食べるのを好む。 いつもなら痛めつけて中身を吸い尽くすのに小さいゆっくりは脆いため過度な虐待ができない。 さらにはちょっとしか食べれないあまあましか食べていないため日に日にストレスは溜まりお腹を空かせていった。 一方でさくやたちは至って健康。 あまあましか食べれないれみりゃとは違い、その辺の雑草も平気で食べるさくやたちにとって空腹とは無縁のものだった。 しかし、このままではれみりゃたちが死んでしまう。 番のさくやたちはそんなれみりゃたちをなんとかしようとあまあまであるゆっくりを探すが、 どれもこれも子供を作ったばかりや、ここはゆっくりできないと感じ取り別の場所に引っ越してしまったゆっくりばかりだった。 ゆっくりさくやたちは野苺を集めなんとかれみりゃたちの空腹を満たそうとするが、 取りすぎてしまい野苺も無くなってしまった。 本当にどうしようかと思ったときある一家の赤れみりゃが空腹で死に絶えそうになった。 「ぅー・・・・お・・・おにゃかしゅいちゃどー・・・」 「あああ、どうしましょおおおおお!!」 困惑するさくや。 番のれみりゃは今狩りに行っておりこの場にはいない。 食料も少ない中、こういった赤れみりゃや子れみりゃが餓死することが多くなった。 今まさにそのようなことになりそうな状況である。 「し、しかたありませんわ・・・・ここはこのさくやめがおたべなさいを・・・」 さくやがゆっくりの特性である「お食べなさい」をやろうとした。 そうすればこの赤れみりゃは救えるだろうがその代わりさくやが死ぬことになる。 「お食べなさい」を実行しようとしたとき赤れみりゃは何かに向かって這いずっていた。 「ぅー・・・・・」 「???おちびちゃん・・??」 「むーちゃ・・むーちゃ・・・」 「!!?」 赤れみりゃが食べたものはさくやのうんうん。 意識が朦朧としている中、何か食べるものはないかと辺りを見渡していた赤れみりゃ。 その目にさくやのうんうんが映ったのだ。 普段はれみりゃたちに見られぬよう、うんうんをしていたさくや。 しかしここ最近は赤れみりゃが空腹でいつ倒れそうかわからなかったため処分するのを忘れていた。 意識がはっきりしないのでそれがうんうんだと理解できずに一直線に被りついた。 「だ、だめですわ!そんなばっちぃものをおたべになっては・・・・!」 「むちゃむちゃ・・・・??!」 赤れみりゃが目を見開いた。 さくやは本能的にうんうんを食べてしまった嫌悪感で中身を吐き出してしまうんだと理解し、 そんな光景を見ないために目をギュッと閉じた。 だが吐き出したのは中身ではなく。 「ちあわちぇだどおおおお!!!」 「・・・・・・・・・・・・・・え?」 幸せに満ちた歓喜の声だった。 「おいちぃどー!おなかいっぴゃいになっちゃたどー!」 「??・・・・・・???」 「お、おちびちゃん・・・?へ、へいきなんですの・・?うんうんたべて・・?」 「うー?まんまはなにいっちぇるだどー?あんなにおいちぃものがうんうんなわきぇないどー」 「・・・・・・・・ええー・・とっ・・」 さくやはわけがわからなくなった。 何故うんうんを食べて平気なのだと。 それもそのはず、さくやはれみりゃたちに隠れてうんうんをしていたためどんなうんうんをしているかわかるはずもない。 というよりあんなにおいしいものがうんうんであるはずがないと都合の良い思考が赤れみりゃにそうさせた。 「うー、おいちかったどー。まんまーあれなんてあまあまだどー?」 「え?」 「いつものあまあまじゃなっきゃったどー、とっちぇもおいちいどー♪おちえてほしいどー」 「ええええ??!」 どうやら赤れみりゃは自分が食べたあまあまはさくやが取ってきたものだと勘違いしてしまってるようだ。 困惑するさくや、「自分のうんうんだ」なんて言ってしまったが勘違いされている。 どうしようかと考えた末、ある言葉が頭に浮かんだ。 「え、えーと・・・それはぷりんですわ!」 「う?ぷでぃん?」 「え?・・・・そ、そうぷでぃんですわ!」 「うー☆ぷでぃんー♪」 ぷでぃんと連呼しながら喜ぶ赤れみりゃ。 その時、ちょうど番のれみりゃが狩りから帰ってきた。 「た、ただいまだどー・・・・・・・・・・・・・・うう?なにかあっただど?」 「あっ、おじょうさま」 「うー♪ぱぅぱおかえりだどー」 「う?!おちびちゃんがげんきになってるだどお??!どういうことだど??!」 「うー♪まんまがぷでぃんをもってきちぇくれちゃんだどー」 「ぷ、ぷでぃん?!それはなんなんだどー??!」 「ぷりゅんぷりゅんでおいちかっただどー♪」 赤れみりゃは親に自慢げに食べた感想を述べた。 話を聞いているうちにれみりゃ自身もだんだんぷでぃんが食べたくなってきた。 「うー!さくやー!れみぃもぷでぃんたべたいどおおおおおお!!」 「ええええ??!そんなきゅうにいわれても・・・」 ほんとに急に言われてもだ。 なにせぷでぃんはさくやのうんうん、出せと言われても出せないものは出せない。 「ぷでぃん!ぷでぃん!」 「・・・・・・う~!わかりました・・・・あしたのちょうしょくにかならずだします!」 「う~♪」 仕方なくさくやは明日の朝食にうんうんぷでぃんを作る・・いや出すことを決めた。 もちろん本人たちの目の前ではなく隠れて作る・・・出すつもりだ。 翌朝、普段の朝食の赤ゆっくりを食べ終えてさくやはれみりゃにぷでぃんを差し出した。 その時のぷでぃんは出したばっかりなのか生暖かく、艶がよかった。 これにはれみりゃも驚いてよだれを垂らしている。 「お、おいしそうだど・・・・」 「う?にゃんかれみぃがたべたちょものとちがうようにゃ・・・」 「き、きのせいですわ・・」 若干焦りながらも誤魔化すさくや。 昨日赤れみりゃが食べたうんうんぷでぃんは出したのがお昼ごろで、 赤れみりゃが食べたのは夕方あたりであったため色が微妙に違っていた。 「じゃあさっそくたべるど」 むしゃむしゃ・・・・・・ れみりゃがぷでぃんを食べていく。 「・・・・・・・・・・・・う?!」 「お、おじょうさま?!」 ぷでぃんの正体がうんうんだと気づいて中身を吐きそうになると思いきや・・・ 「し、しあわせえええええええええええええええええええええだどおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 とてつもなく甘いものを食べたときに喜ぶゆっくりらしい歓喜の声をあげた。 「おいしいんだどおおおお!!!こんなおいしいものはじめてたべただどおおおお!!」 「うう!!れみぃもたべりゅどおおおお!!」 赤れみりゃも我慢できずにぷでぃんに被りつく。 昨日食べたぷでぃんの味がそんなによかったのか、もうぷでぃんは無くなってしまった。 「う~☆さくやはすごいどー♪こんなおいしいものをもってくるなんてすごいど~☆」 「しゅごいど~☆」 「そ、そんな・・・・」 れみりゃに褒められて照れてしまうさくや。 まあ、実際はうんうん出してそれを差し出しただけなんだが・・・ それかられみりゃはさくやがくれたぷでぃんのことを群れのれみりゃたちに話した。 どんな味か、どんな触感か、どんな形をしているか自慢げに話した。 「ううう!!れみぃもた、たべてみたいどおおお!!」 「うらやましいど!!」 「さくやー!れみぃにもぷでぃんをもってきてほしいんだどおおおお!!」 「ええ??!いきなりそんなこといわれましてもー!!」 「どうしたらいいんでしょう・・・ぷでぃんなんてものはみたこともきいたこともありませんし・・・」 「でも、おじょうさまがごきぼうなさっているからさくやたちでなんとかするしか・・・」 「「「「「ゆーん・・・・・・・」」」」」 困るさくやたち。 見たことも聞いたこともないものを持ってくる、無理な話だ。 あのれみりゃの話からしてさくやが持ってきてくれたと言っていた。 だとすれば番のさくやがぷでぃんのことを何か知っているだろう。 さくやたちはあのれみりゃの番のさくやを探した。 その噂のさくやはお家の中で清掃をしていた。 赤れみりゃも群れの子供たちと一緒に遊びに出かけているから都合がよかった。 早速聞きだすことにする。 「で、そのぷでぃんとやらはどうやっててにいれたのかしら?」 「・・・・・・・・・・」 「こたえなさい、われらがおじょうさまのためでもあるのよ」 「それにぷでぃんというものがあればおじょうさまのくうふくをみたすこともできるはず・・・」 「しょくりょうなんもかいひできますわ」 「うう・・・」 「さくや!」 「わかりました・・・おはなしします・・・」 さくやはぷでぃんのことを話すことにした。 群れのれみりゃたちに見られず、聞かれないところまで行き、全てを話した。 「・・・・・・・・・そのはなしはほんとうなの・・・?」 「・・・・・はい・・・・・」 「なんてことを!!あいするおじょうさまにじぶんのうんうんをたべさせるなんて!!」 「でも・・・ぷでぃんをたべてくれたおかげでおちびちゃんはしなずにすんだのよ?!」 「ゆぐっ・・・」 「たしかに・・・・・」 さくやの言葉にさくやたちは黙ってしまう。 このさくやの赤れみりゃは本当に危険な状態だった。 あのままうんうんぷでぃんを食べていなければ恐らくは餓死で死んでいただろう。 それほど危険な状態だった。 だが、それでもれみりゃにうんうんを食べさせることなどメイドとしてのプライドに泥を塗るようなもの。 自分の排泄物を主人に食べさせるなど最早メイドとしての誇りはない。 「ですが・・・おじょうさまにぷでぃんをたべさせたつみはこのみでつぐないます・・・このさくやめをせいさいしてください・・・」 「・・・・・・・・・・・っ・・・」 「ま、まって!たしかにそうしなければおじょうさまはしんでいたかもしれないのよ!?」 「いいのよ、さくやはもう・・・」 「・・・・・せいさいはなしよ」 「え?」 「あなたがいなくなったらおじょうさまとおちびちゃんはどうするの?しゅじんをけがさせて、じぶんはにげておじょうさまをくるしめるき?」 「そ、そんなこと・・・」 「わかったらむれにのこりなさい、あなたがせいさいされたってぷでぃんがわたしたちのうんうんだってことはかわらないわよ」 「はい・・・」 とりあえず制裁はなしという形でさくやは群れに残ることになった。 しかしこれからが問題だ。 群れのれみりゃたちはぷでぃんを食べたがっている。 ぷでぃんは実はさくやたちのうんうんでしたなんて言って信じてもらえるだろうか。 いや、もらえない。あのさくやの赤れみりゃがいい例だ。 では、目の前でうんうんをしてぷでぃんがうんうんだということをばらすか? これも駄目だ、れみりゃの前でうんうんするなどメイドとして失格だ。 どうしよう、どうやってぷでぃんのことを伝えようかとさくやたちは悩んでいた。 「・・・・・・・・いっそのこと、ぷでぃんをおじょうさまにあたえるってことで・・・」 「あなたね!」 「いえ、そうするしかないでしょうね」 「え?!ほんき??!」 「ほかにてがある?ぷでぃんがうんうんだというじじつはかわらない、だったらもうたべてもらうしかないわよ。うんうんだということはだまって」 「そ、そんな・・・」 「きもちはわかるわ、でももしぷでぃんをたべれなかったおじょうさまたちがとるこうどうかんがえたら・・・」 「う・・・・たしかに」 もし群れのれみりゃたちがぷでぃんを食べれなかったらどうなるだろうか。 間違いなくれみりゃたちは騒動を引き起こすだろう。 ぷでぃんだけ食べれたれみりゃ一家を集団リンチし、番のさくやにぷでぃんを持ってこさせようとするだろう。 それだけは駄目だ、群れの仲間通しの争いなどさくやたちは考えたくもない。 もうぷでぃんをれみりゃたちに献上するしか道は残されなかった。 さくやたちはうんうんを出すため周りにある雑草をたらふく食べた。 雑草はそこらじゅうにあるためすぐに満腹になった。 お腹がぽんぽんになり、うんうんが出そうになる。 「さあ、みんなやるわよ・・・・」 「ええ・・」 「「「「「「うんうんすっきりー!!!」」」」」」 もりんっ! ぷでぃんうんうんが出てきた。 雑草をいっぱい食べたおかげで大量、かつ大きいうんうんが出た。 どこからどう見ても人間がおやつとして食べてそうなプリンそのものだった。 「・・・・・・これがぷでぃんですの・・?」 「ええ」 「これをおじょうさまにたべさせるのね・・・・・・・」 ぷでぃんを葉っぱの上に乗せ運んでいくさくやたち。 動いただけでぷるんと揺れるぷでぃん。 ただ運ぶだけならいいのだがこれはうんうん、さくやたちはうんうんの匂いに耐えながら運んでいく。 しかし、これから自分たちがすることに比べれば容易いものだった。 群れに着きれみりゃたちの前にぷでぃんを並べる。 初めてぷでぃんというものを見たれみりゃたちは目を輝かせよだれを垂らしていた。 「お、おいしそうだど・・・・」 「こ、こんなにいっぱいあるだど・・・」 「さあ、おたべになってくださいまし!」 「「「「「「いただきますだどおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」」 むしゃむしゃとかぶりつきぷでぃんを食べていくれみりゃたち。 なにせろくな食事をしていないのだ、それはもう空腹のゆっくりが生ゴミに食らいつくように。 大量にあったぷでぃんの山はもう無くなってしまい、れみりゃたちは満腹になった。 「おなかいっぱいだど~」 「ぽんぽんだど~」 「う~・・・」 満足いったれみりゃ。 甘くてぷるんぷるんしていてお腹を満たした感覚。 あんなにおいしいものだとは思わなかったぷでぃん。 れみりゃたちはぷでぃんが大好きになった。 「またたべたいど~」 「さくやーつぎもたのむだどー」 「わ、わかりました・・・」 それから群れは食料に悩むことはなかった。 なにせさくやたちがうんうんをしてそれを食べさせるだけなのだから。 雑草もそこらじゅうにある、もう食料に悩むことはない。 しかし、さすがの雑草も食べ過ぎるとなくなっていくものだ。 どうしたらいいかと考えたさくやたちはれみりゃたちがしたうんうんを自分たちで食べることにした。 一部のさくやたちは何故と反論したがれみりゃが自分たちのうんうんを食べているのだ、 自分たちも食べなくてどうすると言われ全員同意した。 この考えは良かった。 なにせうんうんを片付けられるし、食べた分は自分たちのうんうんでぷでぃんができる。一石二鳥だ。 それと一匹のさくやが気づいたことだが、れみりゃたちがうんうんを食べているところを想像したら、 急にまむまむがQUNときてしまったのだ。 それとどういうわけか鼻血も出るようになった。 これが群れのさくや中に広まり、れみりゃに対しての異常な愛着を持つようになった。 「はあはあ・・・おじょうさま・・・・」 「ああ・・・・さくやのうんうんをおいしそうに・・・・・・・・」 「・・・・・・なんかさくやのおかおがこわいど・・・」 れみりゃたちのうんうんで食べ続けているうちに雑草もまた伸び初め、餌となるゆっくりも増えだした。 久しぶりに狩りに行き運動するれみりゃたち、平和だったゆっくりプレイスが突如阿鼻叫喚に変わりゆっくりたちは絶望の色に染まった。 「うー☆いっぱいいるだどー♪」 「ぷでぃんもいいけどこっちのあまあまもいいんだどー♪」 「すききらいはだめだどー☆」 「こっちこないでえええええええええええええええええええええええええ!!!!」 「どぼじでええええええええ???!なんでれみりゃがここにいいいいいいいいいいい!!?」 「わからないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!??」 「むきょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 狩りで獲って来たゆっくりたちはどれもおいしかった。 なにせ幸せの絶頂から一気に恐怖のどん底に叩き落されたのだ、さぞ甘かろう。 こうしてこの群れは弱肉強食の争いに巻き込まれるまで平和に続いた。 れみりゃたちは番のさくやたちがぷでぃんというおいしいものを持ってきてくれることからますますさくやが好きになった。 ぷでぃんはとってもおいしいもの、さくやがいればぷでぃんが食べれる、そしてさくやはとっても優しい、そう頭に刻み込まれた。 れみりゃがさくやを異様に求めるのはこれらが原因だと思われる。 そしてこれからのことになるのだが、長い年月が経ち、その本能が現代に伝わるまでれみりゃたちにとってぷでぃんとは至高のあまあまとなった。 群れがバラバラになりさくやとも別れてしまい、人生の中でさくやとも会う機会がほとんど無くなってしまったが、れみりゃたちの間でこんな言い伝えが広まった。 ぷでぃんを持つれみりゃ、それ即ちさくやを従者に持ち、威厳ある立派なこーまかんに住んでいるカリスマと世代を渡って伝えられた。 故に求めるのだ、ぷでぃんを。己のカリスマと自分を慕う従者を手に入れるために。 己がゆっくりするためのぷでぃんへの執着心。 これらの要因が今を生きるれみりゃたちに異様にぷでぃんを求めさせる原因となったとさ・・・・ もっともぷでぃんを手に入れたからといってそこにこーまかんもさくやもいなければ意味はないのだが。 再び現代。 あのれみりゃとさくやの間に子供ができ一年。 もう独り立ち十分な大きさになった。 れみりゃがさくやにすっきりしよと言ったときれみりゃに向かって鼻血を盛大に吹いてしまうことがあったがそれはよた話。 子れみりゃ、子さくやはこれから別れる親たちに涙を流していた。 「うー・・ぱぅぱー・・・まんまー」 「うー、おちびちゃんげんきにいきるだどー」 「おかあさま・・・」 「だいじょうぶよ、あなたはりっぱなメイドになれるわ」 別れのす~りす~りをし、独り立ちしていった子ゆっくりたち。 その背中が見えなくなるまで見届け続けた。 「いっちゃったどー」 「あのこたちならだいじょうぶですわおじょうさま」 「そうだどー、きっとだいじょうぶなんだどー」 れみりゃたちはお家の中に入っていき二世代目の子供を作ろうとしていた。 子れみりゃは辺りを見渡し、安全なお家がないか探していた。 いつかれみりゃは立派なこーまかんを持ち、番をさくやにして何不自由ない生活を送りたいと夢見ていた。 「うー☆さっそくおうちをつくるだどー」 「ゆんゆゆん、ゆんゆゆん♪」 「う?あのこえは・・・?」 向こうからさくやがやってきた。 母のさくやでも妹のさくやでもない、他ゆんのさくや。 「あら?まさかそこにおりますのはれみりゃおじょうさま?!」 「そうだどー☆」 「お、おじょうさまあああああああああ!!!」 れみりゃを発見して喜ぶさくや。 それはれみりゃとて同じ、独り立ちして早々さくやに会った。 「あ、あのおじょうさま・・・もしよろしければさくやめをおつかえさせていただきませんか・・?」 「うー☆よろこんでだどー♪」 「あああ、うれしゅうございますうううううう!!!」 こうして出会ったさくやと共に暮らすことになったれみりゃ。 「うー、れみぃぷでぃんがたべたいどー♪」 「ぷでぃんですね!わかりました!」 もちろんぷでぃんとは・・・ (はあはあ・・・・・おじょうさまにさくやめのうんうんを・・・・) これのこと。 子さくやもある夢がある。 母のような立派なメイドになること、父のようなカリスマ溢れるれみりゃと一緒に暮らすこと。 「さて、どちらにいきましょうか・・・・」 「うー☆」 「あら?もしかしてあのこえは・・・・・・」 向こうかられみりゃがやってきた。 父のれみりゃでも姉のれみりゃでもない、他ゆんのれみりゃ。 「う?もしかしてそこにいるのはさくやだどー?」 「はいっ!さくやでございますおじょうさま!!」 「うー☆さくやー♪」 さくやを発見して喜ぶれみりゃ。 それはさくやとて同じ、独り立ちして早々れみりゃに会った。 「うー・・・さくやーもしよければれみぃといっしょにくらさないだどー?」 「も、もちろんですわ!」 「うー♪」 こうして出会ったれみりゃと共に暮らすことになったさくや。 「うー、れみぃぷでぃんがたべたいどー♪」 「ぷでぃんですね!わかりました!」 お家を決めたら早速ぷでぃんを作ろうと思うさくや。 もちろんぷでぃんとは・・・ (はあはあ・・・・・おじょうさまにさくやめのうんうんを・・・・) これのこと。 あとがき HENTAIとうんうんばっかしか書いてないような気がする・・・・・ 虐待しなければ・・・虐待ィ・・・・虐待ィ・・・・ 今まで書いた歪み 加工所本部 前編・後編 れいむその後 まりさその後 14番れいむのその後 れみぃと野良豆ゆっくり 前編・後編 あいつらの違い れいむはいい飼いゆっくりさ 折れた「ぐんぐにる」 ドスれいむ 追われるれいむ ゆなら HENTAIお姉さんとクイーンありす 消費期限切れのお菓子を与えてみた HENTAIたちの無双劇 HENTAIフルコース 小舟のお家
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ピンポーン、ピンポンピンポンピンポンピンポーン!! 朝からけたたましく鳴り響くチャイム。そうか、もうこんな時間か。 急いで支度をしてドアを開けると、そこには隣の住人の姿があった。 翠「おっそいです!翠星石がわざわざ尋ねてきてやってるんだから、3秒以内にドア開けやがれですぅ!!」 彼女は、ここに最近引っ越してきた私立有栖学園の教師で、名前を翠星石という。 俺の会社と方向が一緒なことから、次第に話をするようになり、今では一緒に途中まで出勤する仲になった。 翠「さあ、早く自転車こぎやがれですぅ!これじゃ遅刻しちまうですぅ!!」 そういって自転車の後ろに乗り、俺の肩に手を乗せる翠星石。 仕方なしに、ふらふらと自転車をこぐ俺。翠星石がそのスピードの遅さに檄を飛ばす。 翠「なんですか!そのザマは!!ちゃんと朝飯食ってきやがったんですか!?」 (あなた)「いや…いつも会社でメシ食うんですよ…俺…」 翠「全く、だからこんな危なっかしい運転になっちまうんです。しゃーねーな、今度から朝はうちで食べていきやがれですぅ。」 (あなた)「えっ!?マジっすか!?おっしゃー!!」 翠「か、勘違いするなです!おめーに倒れられると私が困るから、そうしてやるだけです!せいぜい感謝しやがれですぅ!!」 (あなた)「まあ、でもおかげで元気でたかも…!じゃあ飛ばしますよ!!」 そういって思いっきりペダルをこぐ俺。その急なスピードの変化にびっくりしたのか、注意をうながす翠星石。 翠「ちょ、ちょっと早いですよ!もっとゆっくり…」 怖くなってきたのか、ギュッと俺をつかむ翠星石。かすかに、背中に何か柔らかい物が当たっている感触がある。 それににやけていると、後ろから車のクラクションが2回鳴り響く。 見ると、コルベットと思われる車から銀髪の女の人が顔を出し、僕らを冷やかしはじめた。 銀「なぁに?それがあなたの彼氏かしらぁ、翠星石ィ…♪朝からずいぶんお盛んねぇ…♪」 翠「ち、違うです!こんなやつ、何でもないですぅ!!」 そういうと自転車から飛び降り、顔を真っ赤にして学校へ走っていってしまった。 …もしかして、あの反応はまんざらでもない?今度食事にでも誘ってみようかなぁ…と考えながら、俺は会社へと急いだ。 今日は、何か良い事が起きそうだ…。そんな予感を感じながら。 完
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692 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 07 31 ID Q/D96k9j コンコン 「どうぞ」 「失礼します」 「おや、誰かと思ったら優香君じゃないか。よく此処がわかったね」 「藍園さんに伺いました。こんにちは、片羽先輩。こちらお土産です」 「おっと、ありがとう。鉢植えだね、飾っておくよ」 「それにしても、変わった部屋ですね」 「ああ、僕の部屋に入る人は大抵そう言うんだ。ちょっと、らしくないからね」 「体に障ったりはしないんですか?」 「大丈夫。僕の問題は別のところにあるからね」 「なるほど。というと?」 「ふふん。恋することのできない病、さ」 「は?」 「ところで榊君は一緒ではないんだね」 「ええ、まあ。私も、帰る時に思いついただけで、兄さんは違う学校ですから」 「なるほど。特に一緒に来る理由はない、ということかい?」 「そうです」 「優香君は。お兄さんとは、あまり仲は良くないのかな」 「兄さんに聞いたんですか?」 「まあね。榊君は、自慢の妹だとベタ褒めだったよ」 「兄さんは兄さんで、私は私です。別に、わざわざ……仲良くする必要は、ないと思います……が」 「なにか苦しそうだけど大丈夫かい、優香君」 「問題ありません」 「つまり一般的な兄妹の距離感、ということだね。僕はてっきり、何か榊君を恨んでるのかと思ったよ」 「……何を根拠に」 「ああ、気分を害したなら謝るよ。わざわざ来てくれた客人に不躾過ぎたね。この通り」 「いえ、頭を下げられても困ります。それより何故、そう思ったんですか?」 「まあ、そこは環境と勘、さ」 693 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 08 33 ID Q/D96k9j 片羽先輩が学校に来なくなって一週間が経った。 あの人とはまだ、連絡が取れない。 「はあ……」 「なんだなんだ榊。今日も冴えねーな」 「ああ……ん、まあな」 「あの先輩にフラれたのがそんなにショックなのかよ。もう一週間なんだし、いい加減吹っ切ったらどうだ?」 「フラれてねーよ!」 「どおお! 落ち着け榊! ギブギブ!」 「そんなんじゃなくて……連絡が取れないだけだよ」 「それをフラれたってーか自然消滅って言うんじゃね?」 「………」 「絞めんなって! わかった、なら会いに行けばいいじゃねーか!」 「先輩のクラスも見て来たんだけど、どうも休んでるみたいでさ……それも心配なんだよなあ……」 「風邪でもこじらせてんじゃね? まだ六月に入ったところだけどよ」 「かもしれないけどさ……だったらお見舞いぐらい行きたいよ」 「家、知ってんのか?」 「わからない……徒歩通学だから、学校の近くだとは思うんだけど……先輩のクラスに行っても教えてくれなかったし」 「あー、個人情報だから仕方ねーな。ていうか、上級生のクラスに毎日顔出してたのかよ。必死すぎ」 「美術部にも顔を出したけど、先輩の家は知らなかったし……あの人、友達いないみたいだ……」 「ふーん。人当たり良さそうな先輩だったけどなあ。美人だし」 「はあ……」 教室での昼休み。食事もそこそこに、机に突っ伏してため息をつく。 この一週間、ため息ばかりついている気がする。 ため息の原因を何とかしようと、できる限り動き回ってみたけど、結局手がかりは得られなかった。 最初は。部活を尋ねていけば、先輩の友達にでも住所を聞けるかと思ったけれど。柳沢の言うとおり、先輩に友達がいないのは誤算だった。 携帯は、やっぱりずっと電源が切れていて。それでも、毎日何回も短縮を押し、メールを打ってしまっている。 それでも諦められず、毎日先輩のクラスに顔を出したり、先輩と一緒に話した場所をうろついてるけど。傍から見ればストーカーなのかもしれない。 けれど……会いたかった。先輩に、会いたかった。 元々、連絡の途切れることが多い人だったけど。一週間も会えないというのは初めてだ。 いや……携帯番号を交換する前は、普通にそれくらいは開いていた。そのときは何てこともなかったけど、今はこんなにも、胸が掻き毟られる。 なんでだろう。 何度も、何度も。日曜日の最後、別れ際に笑った先輩の姿を思い出す。そのときの言葉を思い出す。 『それじゃ榊君。また会おう』 『はいっ。また明日』 あのときの俺は。なんの疑いもなく、次の日もまた片羽先輩に会えると思っていた。 けれど今思えば先輩は、また明日という約束に答えなかった。 あの人は、次の日に会えないと知っていたんだろうか。 けれど、また会おう、と言っていたじゃないか! あの人の声が、聞きたかった。片羽先輩らしく、また胸を張ってほしかった。 けれど、今の俺には待つことしかできなくて。ああ、先輩に会いに行きたい、会いに行ければいいのに。 「となると、後は夜中に職員室に忍び込んで名簿を盗み出す! とかどうだ?」 「するわけないだろ……」 「ホントにしおれてんなあ。そこはツッコめよ」 「はあ……」 「後はそーだな。あー、そういやボーリングのとき、あっちの方向って言ってたよな」 「そういえばそうだけど。方向だけわかっても仕方ないだろ、どれだけ行けばいいのかもわからないし……」 「いや、ほら。たしか優香ちゃんの友達が、一緒に帰ってたじゃん。途中の道順ぐらいならわかるんじゃね?」 「!」 694 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 08 59 ID VA84KB75 そうだ……そうだ! あの日、晶ちゃんは先輩と一緒に帰ったんじゃないか! もしも晶ちゃんの家のほうが遠かったなら、先輩の家まで付き添ったかもしれない! そうだ、聞こう。今すぐ聞こう。落ち着け、俺。 晶ちゃんは携帯を持ってはいない。連絡を取るには放課後中学校に行くしか……いや、この時間なら! 自分の携帯を取り出し、アドレスから短縮を呼び出してプッシュする。 PRRRRRRR PI 『もしもし。なんですか、兄さん』 「優香! 晶ちゃんに代わってくれないか!?」 「教えてよかったんですか?」 「不本意ですが、知らない場所で暴発されるより適度に発散した方がマシでしょう。私も放課後に向かいます」 「しっかし、榊先輩切羽詰ってましたよねー。アレはもう惚れてんじゃ?」 「……釣橋効果の一種かと思います。対象への不安を、恋愛感情と混同しているのではないでしょうか」 「なーるほどー。にしても、思い込んだら一直線なところに、ちょっと血の繋がりを感じましたよ」 「兄妹ですから」 「話は戻るんですが。榊先輩も物好きですよね。知り合って間もない先輩をそこまで気にかけるなんて、やっぱり外見は偉大だってことでしょうか」 「おそらく突然の不在期間で、幻想を膨らませてしまったのでしょう。実際に会えば幻滅しますよ。男女関係というのは、適度に離れた方がうまくいくものです」 「え、その発言は妹キャラ的にどうなんですか?」 「私が兄さんに与えるイメージは完璧です。幻滅だなんて、ボロを出すような真似はしませんよ」 「なんか色々墓穴を掘っている気がしないでもないですが。まあ、参考にさせてもらいますから、適度に頑張ってくださいねー」 695 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 09 51 ID VA84KB75 先輩に会うため、早退した。 もちろん。本来なら、その日の放課後まで待って、晶ちゃんに教えてもらった住所に向かうべき、だということはわかっている。 けれど、居ても立ってもいられなかった。あと二時間、我慢するなんてとてもできなかったのだ。 柳沢には盛大に呆れられたけど、体調不良ということで口裏を合わせてくれた。感謝。 校門前で、ちょうど来ていたバスに飛び乗る。 自分でも。 自分でも、こんなに片羽先輩に会いたい気持ちが募っていたなんて、思いもしなかった。 教室からバス停まで走りきったせいだろうか、動悸が激しい。どきどき、どきどき。 けれど動悸が激しいのは、もしかしたら運動のせいだけではないのかもしれない。体温が高いのは、陽気のせいだけではないのかもしれない。 夕陽の中で交わされた、妹の会話を思い出す。 『それは、男女として、ですか?』 『んー、どうかな。それはまだわからないけど。今は、普通に話してるだけで十分かな』 あの時、何気なく口にした言葉は、本音だった。 先輩との会話が、勉強ばかりの日々をどれだけ潤してくれたことか。陳腐な物言いだけど、失って初めて気付いたんだ。 バスの停留所案内を見て、自分が何処で降りるべきか確認する。 市立病院。 それが、晶ちゃんから聞いた、先輩のいる場所だった。 うららかな初夏の日差し。 そよ風にはためく、クリーム色のカーテン。 窓から臨む青い空。ざあざあと伝わる、街の発するざわめき。 ある平日の昼間、市立病院の個室で。 片羽桜子はベッドに腰を降ろして、イーゼルに立てかけられたカンバスに筆を走らせていた。 服装は水色の入院着。膝の上には使い込まれたスケッチブック。窓際にはサフランの小さな鉢植え。 壁の一面には彩色の終わったカンバスが何枚も立てかけられ、反対の一面には画材が積まれている。その上には、ハンガーに掛けられた制服。 病室らしく清潔に保たれてはいるが、まるで画家のアトリエのような一室だった。 「ふう」 一息ついて、片羽桜子が筆を置く。小休止。 テーブルに置かれた水を飲み、自分で肩を揉みながら窓の外を見やる。 そのまましばらく病院の庭を眺めていた彼女は、おや、と目を丸くする。 見覚えのある後輩が正門に止まったバスから飛び出して、正面玄関に走っていくのを発見したのだった。 「おお、まだ授業中のはずなんだが……若いなあ、榊君」 696 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 10 44 ID Q/D96k9j 「片羽先輩っ、大丈夫ですかっ!」 「やあ、いらっしゃい榊君。ひとまず水でも飲んで落ち着いたらどうかな、ほら」 「あ、はい」 ごくごくごく。 ……あれ? 「落ち着いたかな?」 「じゃなくて! その、先輩……」 「ん? ああ。季節の変わり目だから入院してたけど、体調については大分良くなったよ。あと二三日で登校できるんじゃないかな」 「そ、そうなんですか。よかったあ……」 先輩の無事を確認して、へなへなと力が抜けた。此処まで走ってきた疲労がもろに出て、自分の膝に両手をつく。がっくり。 なでなで、とベッドに半身を起こした先輩が手を伸ばして、俺の頭を撫でた。 「ふふん。榊君は可愛いな。よしよし」 「や、やめてくださいよぅ」 わたわたと先輩とじゃれつく。ああ、癒されるなあ…… いや、男としてどうなんだ榊健太、飼い犬みたいな扱いを受けるというのは。まあ心地よいしどうでもいいか。 けど自分で言うのもなんだけど、先輩はちょっと落ち着きすぎじゃないだろうか。俺は平日の昼間に、学校を早退していきなり訪ねてきたんだから、もうちょっと驚いてもいい気がする。 「なに。この窓から正面玄関に入る君が見えただけだよ。さっきは驚いたとも。授業はちゃんと受けないと損だよ」 「ご、ごめんなさい。けど、先輩が入院してるって聞いて。いても立ってもいられなくて」 「入院なんて僕にとっては実家帰りみたいなものさ。珍しい話でもなし、気にしないでいいよ」 「珍しくもないって……あ。もしかして、時々携帯が通じなかったのは」 「ああ。病院では通話禁止だからね。榊君も電源は切らないとダメだからね」 「あ、すみません」 あたふたと携帯電話を取り出して電源を切る。 けど、そうか。先輩が時々連絡途絶するのは、病院にいるから、だったのか。 けれど逆に考えるなら、電話が通じない間は。先輩は入院、もしくは通院していたことになる。 それは……かなりの頻度だ。 平均して、一週間に二日は連絡が取れない日があったのだから。下手をすれば、学校と同じぐらい病院にいることになる。 そんなに、悪いんだろうか。 改めて先輩を見る。白い肌、長い髪、痩せた体、細い指。水色の病院着を着た先輩は、確かに美人ではあるけれど、紛れもない病人だった。 ベッドの脇にはカンバスと三脚、壁際には先輩の描いたと思わしき色とりどりの絵や、画材。窓際には花の鉢植え。壁にかけられているのは、見慣れた高校の制服。 この部屋は確かに、先輩の帰るべき場所だった。けれど、ここは病室なのだ。 観察の中でふと、壁に立てかけられた一枚の絵が目に付いた。見覚えのある絵柄。 「あれ? 先輩。この絵って……もしかして、雨の日にスケッチした、桜の絵ですか」 その絵は間違いなく。桜の季節が終わる頃、あの雨の日に。先輩と一緒に見た、雨に打たれて花びらの散った桜だった。あの時感じた悲しさが蘇る。 「ああ。入院中は暇だからね。昔から、退院中に書き溜めたものに筆を入れて時間を潰してるんだよ」 「…………」 言われて見てみれば。 壁に立てかけてある絵は、みんな俺にも見覚えのある内容ばかりだった。 夕陽に染まる校舎、人の居ない教室、サッカーに励む生徒、桜が満開の公園、青い空と町並。 この人は。 この人は、昔から、ずっとそうやって生きてきたのか。 絵に書かれた内容は、なんてことはない日々の風景ばかりだった。町を歩けば、学校に通えば、当たり前に目にすることのできる風景。 俺にとっては、当たり前すぎて辟易するほどの、ありふれた景色でしかない。 けれど、この人にとっては。この人の生きてきた道程にとっては。 当たり前の風景は。体の弱さと戦って、退院して、薬を飲みながら日々を過ごして、やっと見られるものなんだ。 限られた、その時間に。この細い体で、この細い指で。できるだけ多く描くだけの価値があるものなんだ。 胸の中に、暖かいものと、冷たいものが、同時に満ちて溢れた。 ああ。 697 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 12 01 ID VA84KB75 「う、う、う、う、う……」 「な、待て。ちょっと待て榊君。何故、突然泣き出すんだ」 「ご、ごめんなさい。でも……」 「え、えーと。そうだな、とりあえずほら、落ち着きたまえ」 あたふたと先輩の渡してくれたハンカチを受け取り、ぐしぐしと顔を拭う。なんてみっともない、なんてみっともない。この人の前で泣き出すのは二度目だ。 けれど、胸に満ちた感情はなかなか収まらず、しばらくしてようやく衝動は引いていった。消えるのではなく、胸のどこかに、収まる。 珍しく慌てていた先輩も、目に見えてほっとしたようで。 「やれやれ。体に悪いんだから、あまり驚かせないでほしいな。全く、榊君は泣き虫だなあ」 「ご、ごめんなさい……」 「よくわからないが。僕の絵で泣くほど感動してくれたのかな? もしそうなら、端くれとはいえ絵描き冥利に尽きるけどね」 自分で言っておきながら、先輩はあまりそうとは思っていないようだった。どちらかといえば冗談の調子だ。 俺には絵の善し悪しはよくわからないけれど、先輩の絵は普通に上手だと思う。 俺が泣いてしまったのは、絵の内容そのもののせいじゃない。これらの絵が示す、片羽桜子という人の生き方に、だ。 「いえ。先輩の絵はすごく上手だと思いますよ。なんというか、先輩らしくて」 「ふふん、ありがとう。一応、昔からの趣味だからね。褒められると嬉しいよ」 華奢な胸を張って、片羽先輩が笑う。 気付く。 俺は、先輩と話したくて。学校を早退してまでここに来たと思っていたけれど。 俺がこの人から貰っていたのは、言葉だけじゃなかった。 日々の生活は手応えがなくて。未来のことを考えると、辛いことがいくらでも思い浮かんで挫けそうになるけれど。 片羽先輩の。胸を張って、軽く笑って、この世の全てに相対しているその空元気に。俺は、何度も勇気付けられてきたんだ。 空元気だ。 片羽先輩は、優香のような完璧人間じゃない。俺と同じかそれ以上に、弱い部分を抱えた人だ。未来に対して、不安を抱かないわけがない。 それでも、この人は胸を張って笑っている。それなら、俺だって笑っていられるかもしれない。 人間は。どんなに不完全でも笑ってさえいられるなら、人生に堂々と相対できるということを。片羽先輩は、自らの生き方で教えてくれている。 この人に会えて良かった。 「先輩」 「なんだい、榊君」 「俺、先輩に会えて良かったです」 「なんだい、その唐突に死にフラグな台詞は。まあ、僕も榊君に会えて良かったと思ってるよ」 「そのうちでいいですけど。迷惑でなければ、俺も描いてくれませんか?」 「それは……悪くないね。うん、悪くない。いや、喜んで描かせて貰うよ」 698 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 13 06 ID VA84KB75 放課後。 榊優香が藍園晶と別れて柔道部に休む旨を伝え、下駄箱で靴を履き替えたところ。 ぶつんとスニーカーの紐が切れた。 「…………」 しばし沈黙してから、榊優香は鞄からGPS受信機を取り出した。兄の鞄に仕込んだ発信器の電波を受信するもので、携帯よりもかなりごつい。 起動。発信器の座標確認……榊健太の公立高校。 確認を終えた彼女は受信機を鞄にしまい、紐はそのままにして靴を履いた。 目的地である病院へのルートを思い浮かべながら、校門を抜けたところで。 しゅたた、と。電柱の陰から飛び出してきた黒猫が目の前を横切った。 「…………」 しばしの沈黙後、榊優香は携帯を取り出して一番上の短縮を押す。 『お客様のお掛けになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っておりません……』 榊優香は携帯を耳に当てたまま硬直した。 仮説1 榊健太は何らかの事情で高校に残っており、携帯は偶然電池切れ。 仮説2 榊健太は発信機の入った鞄を学校に置いて病院にいる。 「!」 榊優香は即座に、目標地点に向けて駆け出した。 途中、通りがかったアパートの脇に止めてある自転車の鍵がちゃちと見るや、ドライバー(マイナス)を鍵穴に突っ込んで鞄で一撃。がしゃんと鍵が外れた自転車に盗み乗った。この間僅か五秒。 目撃者は幸運にも居なかったが、居ても同様の行動を取らなかったかどうかは定かではない。最短ルートを検索し、しゃかしゃかと立ち漕ぎをする。 激しい運動に息を弾ませながら、彼女は一人呟いていた。 「っ……どうして……!」 どうして。 既に病院にいるとしたら、時間的に榊健太が放課後になってから病院行きのバスに乗ったとは考えにくい。ならば授業を早退したのだろう。この論理は明解だ。 その理由は、それだけ片羽桜子が心配だったからだろう。他に動機などありはしない。この論理もまた明解。 彼女が納得できないのは。どうして、そこまで、片羽桜子を大事に思っているのか、という点だった。 自分が、榊優香がいるというのに。 確かに片羽桜子と、容姿に於いては同レベル……いや、百歩譲って僅かに劣っているかもしれない。けれど他のあらゆるスペックに於いて、上回っているという自負が彼女にはあった。 頭脳も、運動能力も、戦闘能力も、性的魅力も、胸囲も、精神力も、社会性も、耐久力も、全て。勝っているはずなのだ。 全く違うタイプだというのなら比べようがないかもしれないが、この目で見るに二人の持つ方向性は同じのはずだ。 なのにどうして、劣った方を大事にするのか。 「どうしてっ……!」 その時道半ばで。向かい側から歩いてくる榊健太を発見。 急ブレーキしながらハンドルを切った。道路を横断。途中で迫る障害物を回避回避。 甲高いブレーキ音とクラクションを尻目に、榊優香は目を丸くした兄の元に到着した。 「にい……はーっ、はーっ……さん」 「ななななな、なにやってんだよ優香! 大丈夫か危ないじゃないか!?」 「問題、ありません……ふぅ」 ハンドルに体を預けて肩で息をする榊優香。優等生のイメージなど、どこかに飛んでいってしまっていた。 とはいえ、外面を取り繕うことに関しては年季が違う。深呼吸数回とハンカチで、普段の落ち着きを取り戻した。今更かどうかはさておき。 「兄さん。病院は?」 「あ、ああ。もう行って来た。さっきまで先輩と話してたんだけど、診察の時間になったから帰ることにしたんだ」 「授業を早退して、ですか」 「う」 「兄さん。兄さんは私が今まで散々言ってきた、学生の本分というものを理解しているんですか。放課後に何をしようが勝手ですが、学生として授業を無断で欠席するなどと……」 がみがみ。 以後五分にわたり説教タイム。 あーあーあー、と耳を押さえながら榊健太は自宅に向かって歩き出す。後ろからきこきこと自転車を引きながら、妹が続く。 699 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 13 52 ID VA84KB75 しばらくして、ようやくS気を満足させた榊優香が一息をつく。それを見計らって、兄は話題を変えようと話しかけた。 「そういえば。その自転車、どうしたんだ?」 「急いでいたので。一日だけ友達から借りました」 「へえー。そうだ、どうせなら二人乗りで帰るか? 俺が漕ぐからさ」 「ん……危なっかしいですね。体力も衰えてるでしょうし、大丈夫ですか?」 「んなおじいさんみたいに扱うなって。大丈夫だよ、ほら。どいたどいた」 ひょい、と榊健太が妹を押しのけてサドルにまたがる。榊優香はやれやれ、という顔だけして喜び勇んで荷台に腰掛けた。横座りである、無論。 「まあ、私も少々疲れましたから利用させてもらいますが。転倒したら迷わず逃げますからね」 「はいはい」 妹が兄の原に両腕を回す。落ちないようにという名目で強く、広い背中に上半身を押し付ける。計算。以前よりも胸は大きくなっているはず。いや、胸筋だから硬いのか? 知ってか知らずか。兄はよいしょと声をかけて、自転車を漕ぎ出した。 日は傾き始めていたが、まだ夕方には遠い。青空の下、二人乗りの自転車は家路を辿る。 「そういえば。お見舞いに行かなくてもいいのか? わざわざ自転車まで借りたのに」 「また後日にしておきます。ここで兄さんと別れて病院に行くというのも、非効率的ですし」 「んじゃ、また明日にでも一緒に行くか」 「明日ですか? 病人に対して、毎日押しかけるのも迷惑ですよ」 「う、そうかな」 ぐい、と角を曲がるときは二人一緒に体を傾ける。押しa付けられる体と体。 制服に包まれた兄の背中は、彼女が普段妄想する通りの広さと暖かさがあった。 地面をかむ車輪と、ゆっくりと漕がれるペダルの、一定のリズム。 穏やかな気分で、目を閉じる。久しぶりに、本当に久しぶりに、彼女は一切の計算をやめた。 頬を撫でる風さえも、自分達を祝福しているような気分。 「こうして二人乗りなんて、初めてじゃないでしょうか」 「んー、そうかもな。小学校の頃が一番自転車使ってたけど、昔から優香はなんていうか大人びてたしな」 「老けていた、と言いたげですね」 「ああ、そうかも」 「そういう兄さんは、昔からガキッぽいところが抜けませんね」 「ひでえ! ……ってまあ、お互い様か。考えてみれば俺たち、正反対な性格してるよな」 「それは私が心から感謝することの一つですね」 「うおい!」 その言葉に嘘はない。榊優香は心から感謝している。 比翼連理。 互いに互いを補い合う在り方の形。榊健太とそのような形で生まれてきたことに、榊優香は心の底から感謝する。 欠けた自分を補う欠片を持つのが、この榊健太であることに。榊優香は心の底から感謝している。 そんな妹の心を、兄は知らず。 そして妹もまた、兄の心を知らなかった。 「……なあ、優香」 「はい。なんですか、兄さん」 「俺……好きな人ができたよ」 『もしも兄さんに好きな人ができたら、私に――――― 700 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 15 02 ID VA84KB75 その日の夜。 僕……片羽桜子は、市立病院の個室にて午後九時に就寝した。 早すぎると言うなかれ。今日は榊君の相手もしたし、何よりずっと絵を描いていた。 休憩を挟みながらとはいえ、結構集中力を使うんだよ、創作活動というのは。 そもそも消灯時間が午後九時だし、入院しているなら体力の回復が優先されるべきじゃないか。 入院中に趣味に熱中しすぎで倒れたなんて、本末転倒の見本にされてしまうよ。 まあとにかく。僕は午後九時に就寝したわけだ。ぐう、とね。 そして、ふと深夜――おそらくは午前一時頃に目を覚ました。 何故か? トイレ……おっと失敬。花摘みは就寝前に行っていたので、それは肉体的欲求ではなく精神的欲求だったのだろう。 もっと言えば虫の知らせ、第六感、そんなものの仕業と思われる。さておき。 目を覚ました僕は、ベッドの上で覆い被さる人影に押さえつけられていた。 「――――!」 驚いたよ、そりゃ驚いたさ。 思わず心臓が止まってしまいそうになるほどだった。悲鳴を上げようにも、口元は手で塞がれていたけどね。 だって想像してみなよ。何事もなく一日が終わって、夜中にふと目が覚めたら。真っ暗な病室で、誰かに押さえ込まれてるんだよ。 しかもその上 「助けを呼んだら殺す。抵抗したら殺す」 こんなことを言われてみなよ。これはもう凄まじい恐怖だね。 ただ、その声を聞いて更なる驚愕が僕を襲ったんだ。やれやれ、強すぎる感情は体に毒なんだけどね。 なにしろ、その声には聞き覚えがあったんだから。 折り良く、雲が流れて月光がカーテンの間から差し込んだ。闇に慣れていた僕の目に映ったのは 榊優香君だった。 「…………」 「――――」 信じられるかい? 僕はまた大声を上げそうになったよ。まあ、口元は押さえられていたけどね。 優香君は中学校のセーラー服を着ていた。まあ、紺一色は夜中での迷彩効果は高いかもしれない。 僕を押さえつけている体勢は、布団の上からお腹に乗り、両膝で僕の両腕を押さえ、左手で口を押さえている。 柔道の技なんだろうか。とにかく、僕の四肢は布団と膝に押さえられて、とても満足な動きはできそうになかった。 優香君は、空いた右手でベッドの脇にあるスイッチ……ナースコールを手にとって、そっと手の届かない場所に置いた。さっき自分で言った通り、まず助けを呼ぶ手段から潰していくらしい。 僕はといえばその間、なんとか興奮と驚愕を落ち着かせようと努力していた。 クールになれ、片羽桜子。落ち着いて素数を数えるんだ。素数は孤独な数字。この僕に勇気を与えてくれる。 2、3、5、7、11、13、17,19、23、28、いや違う29だ……ふう。落ち着いて状況を整理してみよう。 状況から判断するに。優香君が病院に忍び込み、消灯後まで人目をやり過ごし、その上で僕の部屋に押し入ってきた、ということになる。正気だろうか。 僕の記憶が確かなら、看護婦の見回りは三時間ごと。そして午前一時という時間感覚が確かなら、後二時間は見回りは来ない。 おっと、今は看護師と言うんだったね。失敬。 具体的な危険についてだが、警告を受けたということは下手を打たなければ殺されることはなさそうだ。僕もまだ命は惜しいんで、これは非常に助かる。 では彼女の目的は何なのか、というと。これが全く謎なのだった。まあ、優香君が話してくれるだろう。 「…………」 す、と。試すように僕の口元から手が離され、喉に当てられる。軽く絞められた。ぐえ。いつでも絞め殺せるというパフォーマンスらしい。 僕が叫びださないのを確認してから、彼女はこの場に来た目的を、口にした。 「兄さんに……これ以上、近づくな。でなければ……殺す。このことを誰かに話しても、殺す」 ……ああ。 「なるほど。つまり君は、榊君のことを異性として愛してる、ということか」 701 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 16 58 ID Q/D96k9j 驚きではなかった。 何故かって? まあ、それは環境と勘、さ。 榊君から話を聞いていて、どうも彼の人生に優香君が何かと働きかけているようだ、ということはわかっていた。進学とか勉強法とかね。 わからないのは動機だが、あんな働きかけは並大抵の労力じゃできやしない。しかも本人には気付かれずに、だ。執念としか言いようがない。 であるなら、考えられる動機は二つ。榊君にとてつもない恨みを抱いていて、その復讐だという線。 榊君の人生に影を落とす以上、僕としてはこの線だと疑っていたが。どうもこんな風に脅迫にかかるのでは、もう一つの可能性のほうが高そうだ。 即ち、愛ゆえに。 「どうしてそれが、榊君の人生に影を落とすような真似をするのかわからないが。今こうしてるのは、どう考えても嫉妬に狂った末の行動だからね」 「……っ! 私は、兄さんの人生に、影など落としていない……っ!」 「ああ。そういえば愛とは独占欲を伴うものだったね。となると、榊君を進学校に入れさせた理由も説明がつく。いや、すっきりしたよ」 「……今となっては、後悔していますよ」 「榊君と会えたんだ。僕は感謝しないとね」 僕が答えると、優香君の目付きが一際暗く、沈んだ。 腰につけたポシェットを後ろ手で開くと、凶器の柄が幾本も飛び出す。小型ハンマー、ドライバー、ペンチ、ナイフ、釘。 あ、あれ、柔道って素手でやるんじゃなかったっけ……? 右手を宙に浮かせ、指を鉤爪のように曲げて、優香君が言葉を搾り出す。 「片羽先輩も……兄さんが好きなんですか」 ……おや? 「待ってくれ、優香君。『も』ということはつまり、榊君は僕のことが好きだと言うのか?」 「……っ!」 ザン!と 優香君がポシェットから抜き出したドライバー(マイナス)が、僕の顔の真横、枕に突き刺さった。 ……や、薮蛇だった。今更ながら、ものすごく怖かった。落ち着け、素数を数えるんだ。 運動能力の圧倒的な差で、反応すらできなかったのだが。それが優香君には余裕と取れたようだった。 呟く。 「夜中に押さえ込まれて、殺すと脅されて、随分余裕があるのですね」 「いや、怖がってるよ。けどまあ、常に平静であらんとするのが僕の信念でね」 「……どうして、兄さんは、貴女のような人を……」 ふむ。 どうやら、榊君が僕のことを好きだというのは、ガセネタではないようだった。だからこそ、こうして今日忍び込んできたのだろうし。 まあ、言われてみれば榊君の態度に思い当たる節もないではない。また泣き出したり、絵を描いてくれと頼まれたりね。 ただ、それがどうしてなのか。 どうして、榊君は僕のことを好きになったのか。 そんなものは弓を持った天使でなければわからない……と言いたい所だが。実は推測がないわけでもなかった。 「前にも言ったが。性的魅力では僕よりも君のほうが遥かに上だよ」 「っざけ……!」 「いや、落ち着きたまえ。侮辱してるわけじゃないんだ、ただの事実だからね」 今度はペンチを抜いて振りかざした優香君を必死で止める。日曜大工用具の、そんな斬新な使い方は絶対体験したくない。 それにしても普段の優等生振りとは掛け離れた激情だ。ぱっと見の方向性は似ていても、中身は僕とは正反対だな。 「逆に言えば、僕と君とは外見の方向性は似ている……それが問題だったんだろうね」 「なにを……」 「まあ推測だよ。君のことだから、日々弛まず気づかれないよう榊君にアプローチしてきたんだろう」 間違った勉強の方法論を教え込んだのと同じように。正しいかはさておき、優香君は日々の努力を怠らないタイプだな。 「そしてその効果は出ていたはずだ。君は客観的に見ても、魅力的だからね」 「嘘をつくな! なら、兄さんは、どうして、私でなく、貴女なんかを……!」 「代償行為だよ」 ぴたりと。 優香君が動きを止めた。 頭のいい彼女のことだ。今の言葉で、どういうことか、完全に理解したのだろう。 「欲しいものが手に入らない時。代わりに似たものを手に入れることで欲求を満たす心理的防衛機能。それが代償だ」 「私が……妹だから……」 「そう。榊君は優香君に強い魅力を感じていた。だが優香君は榊君にとって妹であり、恋愛対象にはできなかった。そこで榊君は」 「無意識に。タイプが似ている貴女を……好きになった、ということですか」 「推測だがね」 「…………!」 702 未来のあなたへ5 sage 2009/01/11(日) 02 18 07 ID VA84KB75 優香君が天井を仰いで絶叫した。声を出すわけにも行かず、音はすべて胸の中で噛み殺し、ただ無言で。 まあ……この推測が正しいなら。思いっきり優香君の自爆だからね。彼女は彼女なりにプライドがあるようだし、衝撃も大きいだろう。 そして。 しばらくして、優香君はまた僕を見下ろし……ペンチを構えなおした。 「……みんな殺す」 おいおいおいおいおい。 「私が妹である限り、代わりを求めるというのなら……兄さんに近付く女は、みんな殺してやる」 そう断言した彼女の瞳は。 僕から見ても……ああ。君も、か。 「絶望の向こうには何がある?」 「自由です」 そうだ。 絶望とは何処にも行き場のないということ。行くべき道全てが、閉ざされているということ。 だからこそ、それを乗り越えたとき。その絶望を受け入れたとき、人は自由になれる。 その境地は、無敵だ。 たが、まあ……だとしても。僕もまだ、命が惜しいんだ。 「待ってくれ、優香君」 「待ちません」 だよね。 優香君がペンチを振り上げる。どうも狙いは喉のようだ。まずは助けを呼ばれないように声を潰すというわけか。この期に及んで冷静だね。 だが。冷静だというのは良いことだ。まだ、僕の言葉で止まる余地はある。さて、もったいぶっている暇はないようだ。言ってしまおう。 「僕は榊君と恋人同士になるつもりはないよ」 ぴたりと、優香君の動きが止まった。 後はもう、賭けだ。これを侮辱か嘘か出任せと受け取り、激情と狂気に身を任せるなら僕はまあ高い確率で殺される。 だが。優香君とは、多少なりとも話はした。僕がどういう人間か、僅かなりとも見抜くかどうか。彼女の知性を信じるしかない。 そうして。 「……何故、ですか」 勝った。 「僕は重度の心臓病でね。過度の興奮は心臓に負担をかけ、死を招く。ホラー映画も、過度の運動も、過激なアトラクションも、そして性的興奮……性交も、全て医者に禁じられているんだ」 「言っただろう。僕は恋することのできない病にかかってる」
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580 未来のあなたへ New! 2008/11/20(木) 12 34 27 ID MqbWZ1Et 私には兄がいる。 我が家の家族構成は、父、母、兄、私の四人で成り立っている。それと飼っている猫が一匹、名前はミケ(♀)。 隠し子や義理の親子関係といった、特殊な関係性はない。どこにでもある普通の家族構成だ。 父は隣町の商社に勤めている。会社の規模は中堅で、役職は部長。 理性の抑制が強い人で、私は父が怒鳴るのをほとんど見たことがない。 感情をあまり表に出さないけれど、実際は人並み以上の倫理を備えている。そんな人だ。 私の性格は父に似た部分が多いと思う。 私は父とは普段あまり話さない。とはいえ、それは嫌い合っているわけではなく、ただお互いに無口なだけだ。 時折、疑問に思ったことを質問としてぶつけてみたり、議論めいたやりとりをすることもある。 父の論理は明瞭公平で、納得できなかったことはほとんどない。母や兄では、議論が成り立たないという面もあるけれど。 私はそんな父を好ましく思っている。いや、言い変えよう。私は父のことを信頼している。 母は父より二歳年下で、家事を引き受けながら昼間は近所のスーパーマーケットでパートタイマーをしている。 父とは反対に、感情をすぐ表に出す人で、涙もろく情に弱い。 とても騙されやすい人で、一度などは振り込め詐欺の被害に遭いかけたこともあった。あと、通販で役に立たないものを買うのと、新聞を何部も取るのはやめてほしい。 私と母との間柄は、一般的な親子というよりも友達同士の感覚に近い。 休日はよく一緒に買い物や遊びに行くし、会話の調子も上下ではなく対等なものだ。ただし躾に関しては、それなりに煩い。 少なくとも、母ならば私のクラスメイトと一緒に遊んでも、エネルギッシュという点では引けを取りはしないだろう。 どちらかと言えば大人しい性質の私は、そんな母に疲れてしまうこともしばしばだった。 けれど母に抱く感情は決して嫌悪ではない。むしろ、最も仲のいい人間とさえ言えるだろう。 父と母の夫婦仲は良好な方だと思う。 言い争っていることもある(大抵声を張り上げているのは母だけ)けれど概ねは翌日何事もなかったかのように会話をしているし。 週に二度、夫婦で食事に行くのも基本的に欠かしたことはない。 たまに思うのだけれど。あの正反対な性格の二人が、一体どうして結婚などできたのだろう。それとも、結婚とは案外そういうものなのだろうか。 自身のことも記そう。 榊優香。女。十四歳。中学二年生。 背丈は平均よりも高い方。髪は背中に届くまで伸ばしている。プロポーションは……まあどうでもいいよね。 総合的な外見に関しては、周囲からは高評価を受けている。けれど自分が美人かどうかなど、実感が湧いたことはない。 学力は上の中といったところになる。理系に強く、文系にはやや弱い。運動はそれほど得意ではない、というよりも苦手だ。 性格に関しては、よく他人には冷血優等生等と言われる。何事も論理的に判断するから、そういった評価を受けているのだろう。それについては父の影響と言う他はない。 そんな評価と性格だからか、友人は少ない。昼食を一緒に取るクラスメイトがいるけれど、よく話すのはその子ぐらいだ。 前述した通り、私の家族に問題はない。兄については後述するが、十分以上に善人と言える人柄だ。 むしろ境遇としては恵まれた方に部類するだろう。私はきっと、生き易い世界に生まれてきた。 けれど、境遇にも遺伝にも問題がないならば、私はどうしてこのような人間になってしまったのだろう。 私は兄が好きだ。 私はあの人を、異性として求めている。 581 未来のあなたへ New! 2008/11/20(木) 12 36 42 ID MqbWZ1Et 兄は私よりも一つ上だ。十五歳。中学三年生。 背丈は平均よりもやや低い。昔から、クラスで一列に並ぶと五番目くらいになる人だった。私よりは高いけれど、その差はあまりない。 本人は背丈のことをとても気にしていて、指摘するとすぐに怒る毎日牛乳を飲んでいたり、微笑ましい努力は行っているけれど、今のところ結びついてはいないようだ。 背が低いからひ弱かといえばそんなことはなく、体つきはかなりがっしりした方だろう。私とは違って運動が得意で、中学に入ってからはサッカー部に所属している。 代わりに勉強は苦手で、成績はいつも低空飛行。赤点を取ることもしばしばで、そういう時は母に派手に怒られているのをよく見かける 性格は、一言で表すのなら純朴。よく笑い、よく泣き、嘘が簡単に顔に出て、すぐに落ち込んで、すぐに立ち直って、人を根拠なく信じて、裏切られて、馬鹿で能天気で、けれど傷つき易くて、 だからこそ他人の痛みがわかる人で、優しくて、強くて、それは他人を傷つけるような強さではなく、真実心の強い人で、それから、それから…… 客観的に見るのなら、兄は大して魅力的な人間ではないのだろう。 頭が悪くて馬鹿でお調子もの。サッカー部ではレギュラーだけど、派手な活躍をするでもなく。男女問わず付き合いは多いけれど、異性としては良い友人で終わる、そんな人。 世間一般と私自身と、どちらの評価が歪んでいるのかと言えば、それは私の方だろう。針小棒大にも程がある。 あの人を私以上に評価する人間は、きっと他にはいないだろう。今までも、これからも。 容姿一つを鑑みても、兄には秀でたものはない。低い背丈、ごわごわの短髪、大ざっぱな顔立ち。 けして不細工ではないけれど、見惚れるような美形ではない。それが客観的な評価というものだろう。 けれど私にとっては、少女マンガに出てくるような理想的な造形が、兄の姿形なのだ。 低い背丈も、針金のような短髪も、がっしりした手足も、日に焼けた肌も、頑丈な骨格も、絆創膏を張った膝も、誰も触れたことのない唇も、全て、全て。 もしも他人に話せば、趣味が悪いの一言で済ませてしまうだろう。けれどそんなものではない。そんな生易しいものではない。 幼い頃から形成されてきた私の人格に、ぽっかりと空いた空白の形が、兄なのだ。 私は昔から、感情の起伏が少ない人間だった。 他の人が怒ったり泣いたりするような場面でも、私は「ふうん」と流すだけだった。 それは私自身に危害が及んでも同じことで、転んでも叩かれても怒られても、泣いた覚えはない。 物事に対する態度も同じで、定められた水準を淡々とこなしていくだけだった。そこには達成感などありはしない。挫折感も、ありはしない。 喜怒哀楽、快楽と苦痛、それら全ては私にとって動機足りえない。 多分私は鈍感なのだろう。 生まれつき痛みに強いということは、けして誇れるようなものではない。他人の痛みも実感できない人間は、容易く他人を傷つけられる。 本来の私は、殺人鬼ではないだろうかと……思うときがある。 それでも それでも私が曲がりなりにも、不適合者として社会から逸脱しないでいられるのは。 兄のおかげだ。すぐに泣いて、すぐに怒って、すぐに笑う、兄のおかげだ。 私の前で、物事に対して人並みの反応をする兄がいたからこそ、私は人並みの基準というものを学ぶことができた。 私の前に、誰に対しても気を使う兄がいたからこそ、私は痛みと倫理の価値というものを知ることができた。 そして何より。兄がいるからこそ、私はこの場所にいることを望んでいる。 今、私が、友達付き合いをするのも、勉強をするのも、学校に通うのも、息をするのも、生きているのも、全て。 喜怒哀楽、快楽と苦痛、それら全ては私にとって動機足りえない。だから私は理性で自己を規定し、その枠の中で動く。 私は、自分の命自体には価値など感じていない。死に対する恐怖も、無視できる大きさにすぎない。生よりも死を選ぶべきだと理性が判断すれば、躊躇なく実行できる。 私は、生きているという理由だけで、生き続けるという行動を行うことはできない。 私が生き続けているのは、ここに兄がいるからだ。兄がいないのなら、こんな場所にいる理由はない。生きている理由はない。 兄は普通の人だから、私は物心ついてからずっと、普通の人間のフリを続けている。 私は、私に欠けている全てを持った兄を想うことで、ようやく普通の人間になれるのだと思う。 582 未来のあなたへ New! 2008/11/20(木) 12 37 16 ID MqbWZ1Et そうしてずっと生きてきた。 疲労しない、といえば嘘になる。けれど私にとっては、疲労感は動機にはならない。 それよりも未来のことを考えると、理性がひび割れるような思いがする。論理的な矛盾があるからだ。 この生き方を、私はいつまで続けることができるのだろう。 兄にはまだ、恋人はいない。客観的に見れば、異性として大して魅力的ではないからだ。そして兄自身、恋人を作ることに積極的ではない。私はその二つの事実に、深く深く感謝する。 けれどこれから先は、どうなるかわからない。いいや、いつかは必ず、兄には恋人ができるはずだ。それが一カ月先か、十年先かまでは不明なだけだ。 兄を誰かに奪われることを考えると、私の理性は軋みを上げる。胸がかきむしられる様な思いがする。それが、普通の人間にとっては絶望と言うべきものなのだろう。 ならばどうするのか。先に私が、兄を奪ってしまえばいいのか。 けれど理性は考える。仮に兄と恋人同士になったとして、その後はどうするのか。 兄妹の行為は近親相姦に当たる。両親や知人にどう説明する? ずっと秘密にしておくのか? 結婚は? 戸籍は? 出産は? 子供にはなんと言う? 授業参観は? 保護者面談は? 近所付き合いは? 社会の中で、生きていくのなら。その間ずっと、秘密を維持しなくてはならない。 いや、私はいい。秘密を守ることによる不安も心労も、私ならば塵に等しい。そんなものは喜んで享受しよう。 けれど、それを兄にまで背負わせるというのか。普通の人間であるあの人に。日の当たる場所で笑っているあの人に。 近親相姦の罪を、背負ってまで、あの人はきっと笑ってはいられない。 論理の矛盾だ。 私の欲する通りに動いたとき、私は兄の最も大切なものを奪ってしまう。 何故なら私はあの人の妹であり、私があの人に望むのは罪のない笑顔だから。 ……どうして私は、あの人の妹に生まれたのだろう。 妹でさえなければ、あの人を貶めることもなく一つになれたのに。 兄に逢うことがなければ、私は矛盾もなく殺人鬼でいられたのに。 こんな人間でなければ、私はただの妹でいられたのに。 運命などというものはなく、全ては偶然にすぎないと私の理性は知っている。 けれど、それでも。運命を呪わずにはいられない。 そもそも、どうして私は兄を異性として求めているのか。 ただの家族として、妹として求めることができたのなら、こんな矛盾を抱えることもなかったのに。 客観的に見れば、兄は異性としては大して魅力的ではない。ならば通常、他の人間に異性としての興味を持っても良いはずだ。 家族に対する愛情と、異性に対する愛情は、本来分けられるものなのだから。 けれど私は、兄以外の人間に抱かれることを考えると吐き気がする。 どんな理想化した偶像が相手でも、犯され孕まされる段になると、私の想像力は悲鳴をあげて停止する。愛液など、一滴たりとも分泌はされない。 その後はどうしようもなく兄の匂いを求めたくなる。なりふり構わず抱きついたことさえあった。 583 未来のあなたへ New! 2008/11/20(木) 12 38 59 ID MqbWZ1Et 恋愛感情と性欲は、イコールではないにしろ密接な関係がある。 前述と矛盾するようだが、私はよく自慰をする。快楽に溺れているわけではない、と思う。あまり気持ちの良いものではないからだ。私はおそらく不感症の類だろう。 それでも私はほぼ毎日のように自分を慰める。場所は自室のベッド、道具は使わない。妄想の対象はいつも兄だ。 前から後ろから貫かれ、組み敷かれ組み敷き、あるいは抱き合って、愛を囁かれ、精子を植え付けられるという妄想。 奇妙かもしれないが、そういった行為の中でも快楽は少ない。けれどそれよりも、胸がひどく満たされて、絶頂に至る。 鑑みるに、私はとても性欲の強い人間なのだろう。ただし肉体的なものよりも、精神的な欲求の方がはるかに強い。 そういえば小学三年生の時、テストで高得点を取って兄に頭を撫でまわされた時。雷に打たれように、体がびくびくと震えたことがあった。勿論、第二次性徴を迎える前だ。 幼い頃から私は手のかからない子供らしかったが、その時点で絶頂に至るだけの性欲というものを備えていたことになる。とんだ優等生もあったものだ。 そして、この時点で推測が成り立つ。 すなわち、私の恋愛感情の正体は。幼い頃から備わった精神的に並外れた性欲を、たまたま近くの人間に向けただけではないのだろうか。 …… ……推測を否定する材料はない。 だとすれば私は、生まれついての異常者であり、兄は不運な犠牲者でしかないというのか。 兄のことを思うのならば、そんな異常は即刻排除してしかるべきだろう。 兄のことを思うのならば、そんな歪んだ性欲は他に向けるべきだろう。 あの人のことを思うのならば。 けれど私は……この期に及んで、何一つとして兄のことを思いやってなどいない。 全て自分の都合だ。 傍にいたいのも、笑顔を望むのも、自らを慰めるのも、性欲を向けるのも、感情を求めるのも、笑顔が失われるのを恐れるのも、全て、全て。 身勝手極まる私の都合にすぎない。 私の中には、そのような自分を最悪と判断する理性はあっても、断罪する良心など存在しないのだ。 いくら普通の人間のフリをしていても、私にそのような良心が真に根付くことはなかった。 やはり私は、人間として決定的に欠けている。 けれど……いや、だからこそ 私は、私に欠けている全てを持った兄を求めるのだろう。 諦めることも、進むこともできず、論理の矛盾を抱えたまま、私は今もここにいる。 普通の妹のフリをして、兄の後ろに。 この場所で兄を見ていれば、私の胸には暖かいものが満ちる。まるで普通の人間のように、他人を思いやることさえできた。 私の自我にぽっかりと空いた、良心や倫理のあるべき欠落。兄の存在だけが、その空虚を満たしてくれる。 けれど未来に目を向ければ理性が悲鳴を上げる。いずれ訪れる終わりから、ただひたすらに私は逃げるしかない。 いずれ、兄に恋人ができたのなら。 今の私は間違いなく壊れる。そして、何かを壊して、進むのか退くかを選ばなければならない。それは未来の私が選ぶことだ。 だからこの文章は、一種の遺書のようなものだ。 いずれ壊れ、二度と訪れない、今のこの気持ちを残すためのものだ。 未来の私(あなた)へ それでも私は、この日々の暖かさに感謝します。 私はきっと、幸せだったから。
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このページはこちらに移転しました あなたとコンビに 作詞/にゅる キム兄のコラボ弁当を食べてみる よく分からない ファミマ社長弁当を食べてみる 何故出しゃばった スパイシーチキンはスパイシーしすぎ 明らかに体に悪い コンビニの歌なんてネタが思い付かない FM ラジオかよ ラジオじゃない ファミリーマート 略したらファミマ ファミマ ファミマ 早口で言うと噛むよね でもオニギリが旨いよね 名前は忘れたけど 通勤途中に2箇所ある あああ ファミリーマート ふぉえばー 谷田川ー (このページは旧wikiから転載されました)
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欝が襲ってきたとき。 もう自分なんてどうでもいいと思ったとき。 リストカットしたいとき。ODしたいとき。 自暴自棄になってしまうとき。 本当に本当につらいですよね・・・もういやですよね。 でも、ご自分を責めないで。ご自分をこれ以上傷つけないで。 今は鬱や自己否定のらせんにはまってしまっていますよね。 先が見えない暗闇にいるように感じるでしょうけど そこから抜けだせることが・・・きっときっとできるから。 あなたは悪くない。急がないで。 今は気づかないかもしれないけれど。 仲間があなたのまわりにいるんです。 あなたを助けたいと思っています。 結論を急ぐ前に。こんなことをやってみてほしいのです。 1 深呼吸 お腹に息をいっぱい吸い込みます。 そしてゆっくりゆっくり吐く。 自分のつらさや悲しみを息とともに吐き出すイメージをして みましょう。 何回かゆっくりゆっくりやってみてください。 ほんの少しでも落ち着いてくるでしょう? 2 薬を飲む 不安なときに飲む薬はもらっていますか?あったらそれを 飲みましょう。 ただし、決められた量だけ。 飲んだら横になるのもいいでしょう。 眠くなったらそのまま寝てしまいましょう。 3 自分に声をかける もし友達が今のご自分と同じ状態だったら、かけてあげたい 言葉があるでしょう? 「つらいよね」「大丈夫だよ」「そばにいるよ」 「一人じゃないよ」 ・・・そんな風にご自分に優しいことばをかけてあげましょう。 あなたにとって、お友達が大事であるように、 あなたもお友達にとって、そしてあなたにとって 大切な人なのですから。 4 人に助けを求める きっとあなたは孤独を感じていると思います。 あなたは決してひとりぼっちではありません。 助けを求めることは、勇気です。甘えではありません。 そばに助けを求められる人がいたら、つらいと伝えましょう。 そばにいなかったら、誰か信頼できる人にメールをして みましょう。 コミュニティに書き込んでもかまいません。 すぐに返事は帰ってこないかもしれません。 待ってみましょう。 緊急時に電話を受け付けてくれる機関もあります。 話を聞くプロがいますから、力を借りましょう。 『日本いのちの電話連盟』 http //www.find-j.jp/ その中の「心のリンク集」いろいろな機関が紹介されています。 http //www.find-j.jp/nayami.html 『東京 命のでんわ』 ここで各地方の電話番号がすぐにみつかります。 http //www.inochinodenwa.or.jp/ 『Bfrienders worldwide with SAMARITANS』 世界的に自殺防止のためのとりくみをしている団体 http //www.befrienders.org/int/japanese/index.php 以下のような内容も書かれています。 ・今自殺をしようかと考えている ・自殺を考えているか又は塞ぎこんでいる友人を助ける ・自殺の兆候 ・気分の塞ぎ込みについて 『自殺防止センター東京』 上記の団体の東京支部です。 http //www1.odn.ne.jp/~ceq16010/ 『自殺防止センター大阪』 上記の団体の大阪支部です。 http //www4.osk.3web.ne.jp/~befriend/ もし、すぐにつながらなくても、すぐにあきらめないで。 もし、相手が気にくわない人だったら、切っちゃって。 そして、またかけなおして新しい人に、今の不快感も 含めて話していいから。 とにかく、自分の今のつらい気持ちを吐くことが大事です。 5 体をリラックスさせる 心が疲れ果てた時は、体も疲れています。 しっかり体を休めましょう。 眠るのはもちろん、温めのお風呂にゆっくり入る、 ハーブティーを飲む、アロママッサージをうける、 ストレッチする・・・そういったことで 心身がリラックスしてきますよ。 6 思い出す あなたには大事な人がいますよね? あなたがいなくなったら嘆き悲しむ人がいますよね? 人じゃなくてもペットでもいい。 自分の大事な存在を思い浮かべてください。 写真があったらそれを見てみましょう。 現在はつらくてとも、過去には楽しいことがありましたよね? 思い出してみましょう。笑っていた自分を。 未来にも必ず楽しいことがあるはずです。 それをイメージしてみましょう。 7 好きなことをする 何かできそうになってきたら、自分の好きなことをして みませんか? 気持ちを明るい方向に切り替えられます。 音楽を聞く、出かける、絵を書く、好きな本を読む、 スポーツをする。 大好きなことをしてみましょう。 生き生きとしたご自分に出会えると思います。 くりかえします。あなたは生きている価値があります。 今、急がないで。あせらないで。必ず道は開けるから。 自分のために。あなたを心配してくれる人のために。 もう少し、時間をとりましょう。 今は、もう頑張らなくていいから。 あなたは、ここにいていいんですよ。 ☆これ以外にもあなたが思いつくことがあったら、 それはきっとあなたの助けになります。 それをメモしておくのはいかがですか? ☆もし、あなたがいつか自分がつらくなる可能性があると 思ったら、すぐに見られるように、手元においておくのは いかがでしょう。 お守りになるかもしれません。
https://w.atwiki.jp/eizoulist/pages/1072.html
【番組名】 80あなたが選ぶ全日本歌謡音楽祭 輝け!ゴールデングランプリ!! 【放送日】 1980年11月11日 【放送局】 テレビ朝日 【出演者】 司会:関口宏、中井貴恵 出演者:沢田研二、西城秀樹、野口五郎、松田聖子、田原俊彦、河合奈保子、岩崎宏美、岩崎良美、榊原郁恵、高田みづえ、もんた&ブラザーズ、研ナオコ、小林幸子、都はるみ、八代亜紀、五木ひろし他 【備考】 途中まで